女優霊 一番好きなジャパニーズホラー映画

おすすめのホラー映画は何かと聞かれた時には、やっぱり中田秀夫監督の『女優霊』だと答えるでしょう。1996年公開と、あまり最近の映画ではありませんが、一番好きなホラー映画です。

ジャパニーズホラーらしく、じわじわと近寄ってくるような恐怖描写が、個人的にとても好ましく感じられます。いきなり怖い画面をばーんと見せるのではなく、たとえば車の窓にいないはずの女性の姿が一瞬見えるとか、誰もいないはずなのに声が少しだけ聞こえるとか、そういったシーンが大好きなのです。

怖いだけではなく、ストーリーにも無理がなくて、すんなりと入っていくことができました。自分に映画の良さがどれだけわかるのか、と言われればかなり疑問がありますが、個人的にはとても完成度の高い映画だと感じました。

また、よくテレビなどで顔を見かける超メジャーな俳優が出演していたり、やたらとイケメンや美女ばかりが出てくると、ホラー映画の場合は大抵興ざめしてしまうのですが、そのような欠点もありませんでした。

初めて観たのは十代の頃でしたが、それから十年ほど経って、もう一度観た時の方がより面白く感じられたのは少し不思議です。時が経ち、より多くのホラー映画を観た後だからこそ、一層好ましい作品に思えたのかもしれません。

欠点があるとすれば、細かいところかもしれませんが、主人公の映画監督が母親に電話するシーン。母親の声が妙に若く、「それほどの年でもない人が、わざとおばあちゃんっぽくしゃべっている」ような感じがしてしまい、ふと現実に戻されてしまいました。あれさえなければ、個人的には百点満点の映画だったのですが……それもかなり終盤でのシーンなので、余計に残念に感じてしまいました。