リング これはホラーであり、怪談である。

ホラーが好きな人なら一度は観た事があるであろう作品「リング」。

1998年の公開後に続編やリメイク、海外版も作られた日本の代表的なホラー映画の1つです。

呪いのビデオの噂を発端に始まるこの物語は非常に静かに、じわじわと不気味さを増していきます。

この作品で私が特に気に入っているのは、その恐怖の演出方法です。ネタバレを避けるために詳しくは説明しませんが、心霊現象を写した写真や後半で現れるとある人物の幽霊のスーっと移動する動き方など、実に日本の怪談話といった趣きがあります。

そう。この映画はホラーというジャンルの中において極めて怪談的な作品なのです。

恐怖の根源は最後までほとんど出てきません。派手な血しぶきも悲鳴もありません。ですが、恐怖はじわじわと、静かに忍び寄ってくるのです。そして後半に向かうにつれて少しずつ狂気の度合いが増していき、いつの間にか映画を観ている私達にまで恐怖が感染していることに気づかされるでしょう。

例えて言うなら、この作品で味わえる恐怖は稲川淳二さんの怪談話を聞いている時の感覚に似ているかもしれません。静かに、淡々と話が進み、だけど少しずつ歯車が狂っていき、気がつくと恐怖がすぐ隣にきている、あの感じに・・・。

公開されてから既に17年が経った今でも私がこの作品を愛してやまないのは、この怪談としかいいようのない恐怖の表現の仕方が好きだからです。

続編やリメイク版も確かに怖いのですが、未見であれば是非ともこの第1作目の「リング」を観てもらいたいと思います。外国のホラー映画には無い日本独特の怪談の世界を味わえる、それがこの作品の魅力なのです。