実子を流産した経験のある夫婦が、エスタ—という名前の女の子を養子として迎えいれるのですが、それ以来様々なトラブルに見舞われていく、というホラーサスペンスです。

だんだんと明らかになっていくエスタ—の狡猾さに翻弄され、しだいに対立していく夫婦や、恐怖によって次第に支配されていく難聴の夫婦の娘などの関係が中盤まで描かれていきます。

後半になるとエスタ—の謎が明らかにされ、物語が一気に進んでいきます。

前半から中盤は少し展開が遅いので、夫婦げんかをずっと見せられているようで中だるみしてしまいます。前半のエスターの良い子供としてのエピソードがより印象的で後半とのギャップが表現でき、さらに中盤あたりでもう少し山場があれば良かったのにな、と思います。一方でエスタ—の正体をさぐる妻と、それを阻止しようとするエスタ—との駆け引きと言ったサスペンス要素は緊迫感がありおもしろく描けています。

なんといっても最後に明らかとなるエスターの正体が衝撃的です。そしてエスターの部屋に隠された秘密は彼女の異常性を端的に示していて映画の中でかなり印象に残る部分となるでしょう。伏線がしっかりとはってあるので注意深く見ていると勘のいい人なら正体に気づくかも知れませんが、それでも脚本のすばらしさに感心すると思います。

演技についても特に子役のエスターと難聴の娘はとても自然で話に入り込みやすいことでしょう。それに比べると大人の方は少し印象が薄いかもしれません。