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妖狐は、その名の通り、狐の妖怪である。
『中国と日本の妖狐』
中国の伝説や小説では、「狐狸精」(こりせい)、「狐妖」(こよう)「狐仙」などと言われ、「封神演義」などで有名である妲己に化けた「千年狐狸精」も、この類とされている。
中国では、妖狐は善や悪といった概念は、存在しないようである。
一方、日本の昔話の妖狐は、狸などと並んで、人間やほかの動物に変身をして、人を化かしたりする。
中には、恩返しをすることもあるようだ。
中国の狐の場合、鶏の卵が好物とされているが、日本の場合は、油揚げが好物とされており、このことから、油揚げの事を「きつね」と称される。
『野狐と善狐』
日本において、狐霊には総じて野狐(やこ)と言われる野良の狐と、善狐(ぜんこ)という善良な狐の二つの種類があるとされている。
しかし、野狐でも無害な存在もいれば、善狐でも、あまり良くない存在もいるようである。
玉藻前(タマモノマエ)に化けた白面金毛九尾の狐は、野狐の中でも、人に危害を加える妖狐として知られており、悪狐(あっこ)とも呼ばれていた。
9尾の狐は、悪狐と呼ばれる場合が多いのだが、善狐でも尻尾が9本あればそれは9尾の狐とである。
ちなみに、玉藻前とは、平安時代末期に鳥羽上皇に仕えた、伝説上の「絶世の美人」とされている。
『狐霊の進化』
妖狐は、初めは1本しか尻尾がないのだが、長い年月の間(中国では50~100年ほどとされている)をかけて妖力を高め、最終的には1000年ほどで9本の尻尾を持つ天狐(九尾狐)となるとされている。
『妖狐の種類と解説』
白狐(びゃっこ、はくこ)=白い毛色を持ち、人間には幸福をもたらすとされる、善狐の代表格の存在である。稲荷神社などに祀られている狐は、ほとんどこの白狐である。そして、安部晴明の母親とされる狐も、この白狐とされている。
「黒狐(くろこ、こくこ)」=黒い毛を持ち、北斗七星の化身と呼ばれる存在。中国の書類によれば、太平をなした時に現れる存在だとされている。日本でも「平和の象徴」とされている。
「金狐・銀狐(きんこ・ぎんこ)」=天皇の天皇の即位灌頂の際、左右に安置される荼枳尼天(辰狐)の像。江戸時代に善狐の一種として登場するが、名前がでてくるだけであった。
「九尾の狐(きゅうびのきつね)」=尻尾が9本生えた狐。玉藻前の物語で、絶世の美人として登場している。
「天狐(てんこ)」=1000歳を超え、協力な神通力を得て神格となった狐。尻尾は9本である。千里眼を持ち、さまざまな出来事を見透かすと言われている。長崎県では、憑き物の一種とされており、これに憑かれると、神通力が備わると言われている。
「空狐(くうこ)」=3000年も生きる狐。天狐からさらに2000年も生きた大神狐。善狐が成れるとされている。
「仙狐(せんこ)」=1000年以上生きた善狐の事である。中国での称。
「善狐(ぜんこ)」=善良な狐の総称である。
「野狐(やこ)」=皆川淇園による妖狐の階級の一つである。中国では、仙狐を目指して修行し、試験を受けて合格していない狐の事をそう呼ぶ場合もある模様。憑き物の一種とされており、野狐持ちの人間と仲の悪いものには害をもたらすと言われている。
「絵本百物語」にも登場している。
『遠野物語』
遠野物語の狐は、尻尾が2本に分かれており、半分以上白くなっている古狐だとされており、白さの度合いで、古狐と認知しているようである。
鍛冶職人の家に夜な夜な石を降らせたとされ、その際、捕まえられたとされている。