「八尺様」とは、ネット掲示板で有名な「2ちゃんねる」が発祥とされる怪談話に登場する。妖怪や神のような存在だと思われる。
八尺様は、その名の通り、背丈が八尺ほどあり、帽子に白いワンピースのような姿で、女性の姿だとされている。
八尺様は、不気味な声を出すと言われており、「ぼっぼっぼっぼっ」というような声が聞こえてくるのだという。
この八尺様は、若い世代が目撃しやすく、憑かれ、殺されてしまうという話である。
『怪談八尺様のあらすじ』
親父の実家は、車で2時間ちょっとのところにある。
農家で、田舎の雰囲気が好きで、高校生になり、バイクに乗れるようになり、夏休みとかによく遊びに行くようになった。
しかし、高校3年になる直前くらいから、行かなくなってしまった。
行かなくなったというより、「行けなくなった」というべきか・・・それには訳があった。
ある春休みのこと・・いい天気に誘われ、じいちゃんの家に遊びにいった。
まだ寒かったが、縁側はぽかぽかと暖かく、しばらく寛いでいたのだが・・
その時、「ぼ、ぼ、ぼ、ぼ」という謎の声のようなものが聞こえた。
何の音だと見回すと、生垣の上に帽子があるのがみえた。
その帽子は、横に動き、石垣の切れ目のとこまできた。どうやら女性が被っていたようだ。
その女性は、白っぽいワンピースを着ていた。
石垣の高さは2メートルはある。この高さで帽子が見えるというのは、どれだけ背が高い女性なんだよと思った。
そうしている内に、女性は視界から消えていった。
そして、その後じいちゃんとばあちゃんにその話をした。
「さっき、大きな女の人みたいんだよ。女装した男かな?」というと「へ~」という反応。
そして、「石垣よりも背が高かった。帽子を被ってて「ぼぼぼ」っていっていたよ」
と言ったとたん、二人の動きが止まった。
その後、「いつ見た?」「どこで見た?」「石垣よりどのくらい高かった?」
と、じいさんが怒鳴ったような顔で質問を浴びせてきた。
そのことを答えると、じいちゃんは、電話をかけはじめた。
その後、じいちゃんに「今日は泊まっていけ。今日は帰す訳にはいかなくなった」といった。
そして、じいちゃんは、「ばあさん後は頼む。俺はKさんを連れてくる」
と言い、軽トラックでどこかへ出かけた。
ばあちゃんに恐る恐る聞くと、「八尺様に魅入られたんだよ・・じいちゃんが何とかしてくれるから何も心配しなくていいから」
と震えた声で言った。
ばあちゃんはゆっくり、八尺様の話をしだした。
この辺りには、「八尺様」という厄介なものがいる。
八尺様は大きな女の姿をして、名前の通り、八尺ほどの背丈があり、「ぼぼぼ」と男のような声で変な笑い方をする。
この地区で、地蔵により封印されていて、よそへは行くことは無い。
八尺様に魅入られると、数日でとり殺されてしまう。最後に八尺様の被害が出たのは15年前だった。
そして、じいちゃんは、Kという老婆を連れてきた。
「えらいことになったのう・・今はこれを持っていなさい」
と、Kさんはお札をくれた。
その後、じいちゃんと一緒に2階にあがり、何かしていたようだ。
しばらくすると、2階の部屋に連れて行かれた。
そこには、祭壇があり、仏像が置かれていた。そして、窓が全部新聞紙で塞がれ、お札が貼られており、部屋の四隅には盛塩が置かれていた。
そしてじいちゃんはこう言った。
「もうすぐ日が暮れる。いいか?絶対朝までここから出てはいかん。俺もばあちゃんも、お前を呼ぶことはないし、話かける事もない。朝の7時くらいまでは絶対ここから出るな。家には連絡しておく。お札も絶対に手放すな」
その後、怖いながらも眠りにつき、午前1時過ぎた頃、窓からコツコツと叩く音が聞こえた。
そんな時、じいちゃんの声が聞こえ「おーい大丈夫か?怖けりゃ無理せんでええぞ」「どうした、こっちきてもええぞ」と。
しかし、じいちゃんの声と微妙に違う。
あれはじいちゃんの声じゃない。
ふと、四隅の盛り塩を見ると、塩の上の方が黒くなっていた。
すぐに仏像の前でお札をにぎりながら、「助けてください!」と必死に祈った。
その時、「ぼぼっ・・ぼ・・・ぼ・・」
あの声が聞こえ、窓がトントン鳴り出した。
そうして、とてつもなく長く感じる夜は過ぎ、気づいたら、朝になっていた。
いつの間にか気絶か寝ていたようだ。
盛塩はさらに黒くなっていた。
その後、恐る恐るドアを開けると、心配そうにしたじいちゃん達がいた。
下には父親も駆けつけていた。
そして、じいちゃんは、「車に乗れ」といい、庭にいた数人で車に乗り込み、自分が八方に囲まれた状態で座らされた。
「大変なことになったな。気になるかもしれんが、これから目を閉じて下を向いていろ。俺達は見えないだろうが、お前は見えてしまうだろうからな」
と、隣にいた50歳くらいのおじさんに言われた。
まもなくKさんが、「ここが踏ん張りどころだ」と言い、念仏を唱え始めた。
そうすると、あの「ぼ・・ぼぼぼ」という声が聞こえ始めた。
下を見ていたが、つい薄目で外をみてしまった・・そこには、白いワンピースが車に合わせて移動してきていた。
あまりの怖さに、札をぎゅっと握った。
やがて、声は聞こえなくなり、Kさんが、「うまく抜けた」といった。
お札を見ると、全体が真っ黒になっていた。
そして、Kさんは念のためだと言い、新しい札をくれた。
その後、親父に聞くと、小さい頃に、友達の一人が、八尺様に命を奪われたのだそうだ。
この話には後日談がある。
八尺様の封じている地蔵様が誰かに壊されたという・・それも、自分の家へ通じる道の地蔵がだそうだ。
今となっては、迷信であってほしいと自分に言い聞かせつつ、心配しながら過ごしている・・
あの「ぼぼぼ・・」という声がまた聞こえてきたらと思うと・・
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