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ヴェオとは、リンチャ島で発見された巨大な未確認生物(UMA)であり、全長は馬ほどの大きさがあり、全身をウロコで覆われているとされている。

この生物が生息しているという噂されるのは、コモドドラゴンで名の知られたコモド島からほど近い場所に位置するリンチャ島。このリンチャ島にもコモドドラゴンが生息しており、現代では日帰りのツアーなどで日本からも行く事が可能だ。

ヴェオの伝説によれば、その生物は体長2メートルはゆうにあり、全身を巨大なウロコで覆われている。また、主に食べるとされるのはアリであり、夜間になると食べ物を求めて住処から出て来るとされる。現在残されたヴェオの姿を描いたという絵によれば、この生物は長い尻尾を有しており、2本足で立って歩く事が可能であったとされる。

では、この生き物は一体何なのか?

この様な容姿と生体を持つ生物は、今のところセンザンコウという生物以外に存在しない。

センザンコウは、東南アジアやアフリカに生息しており、全身が大きなウロコで覆われたアリクイの仲間だ。

日本ではあまりなじみの無い生き物であるが、東南アジアでは比較的メジャーな生き物。一見するとアルマジロに近い見た目だが、ウロコひとつひとつが大きく見分けるのはたやすい。食性がアリクイと同様で虫や白アリなどを好んでおり、アルマジロとアリクイの中間的存在だと言える。

では、ヴェオは果たしてこのセンザンコウの見間違いであったのか?

このセンザンコウの体長は最大でも1メートルを超える事はなく、ヴェオの様に巨大な姿をしていない。一見して、馬程の大きさと勘違いすることは考えにくいだろう。
また、センザンコウは昔からインドネシア近辺に生息している生き物のため、わざわざ別の名称をつける必要はないのである。

ところが、このリンチャ島の近くにあるジャワ島には、かつて2メートルを超えるセンザンコウの祖先がいた痕跡が残っているという。

この祖先は体長2メートル以上もあり、食生活もアリなどを食べていたとされている。
夜行性のヴェオも夜になるとアリやシロアリなどを食べにふもとに降りてきていたとされていることから、センザンコウの祖先が未だに生き残っていたという説が有力視されているのだ。

しかし、現在このヴェノに関する目撃情報はまったくといっていいほど無い。

コモド島のコモドドラゴンが人気を博して以降、島周辺に観光客がおしよせてきて、警戒心の強いヴェノを森の奥においやってしまったのかもしれないし、その巨体を維持するには大量の食糧が必要だと予想されるため、島の開発や環境の変化によって食糧が減り、そのまま子孫を残すことなく絶滅してしまったのかもしれない。

また、センザンコウやアルマジロといった生物は中国では漢方薬や媚薬の原料として、またインドネシアではリウマチに効くお守りとして用いられていることから希少視されており、インドネシアはもとより、アフリカにおいても密猟の対象として人気が高く、絶滅が危惧されている。
こうした影響もありヴェノもまた密猟者によって密かに殺されてしまっている可能性も否定できない。

しかし、それでも未だそうした巨大なセンザンコウに似た生物の死骸などは発見されていない。
密猟されたにしても、それほどの巨体である、島から持ち出したり、市場に出回りでもすればたちまち噂になるはずだ。

幻の巨大生物ヴェノ。
このUMAが今でもリンチャ島の奥深くで生きている事を願ってやまない。