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●モスマンの生態

 モスマンとは、1966年アメリカ・ウエストバージニア州で立て続けに目撃されたUMAで、体長は約2m、翼を広げると3mにもなる。全身を褐色もしくは灰色の体毛で覆われており、腕はなく背中に大きな翼がある。胸の当たりにギラギラと輝く赤い目を持ち、羽を広げて羽ばたかずに飛ぶ。目と目の間はかなり離れていて、飛ぶときは時速400kmも出るとされる。遭遇した人間にはなんらかの不幸がある。

●これまでの調査、正体

 モスマンはアメリカ・ウエストバージニア州で1966年から67年にかけての一年間、ポイント・プレザントのオハイオ渓谷一帯で相次いで目撃された。現地の住民たちは単に「バード」と呼んでいたが、その奇怪な容貌からモスマン(蛾男)と呼ばれるようになった。モスマンが有名になったのは、オハイオ州の「ザ・メッセンジャー」紙のポイント・プレザント通信員でありAP通信でもあったメアリー・ハイアーが取材し、記事にしたことがきっかけだった。

 1966年11月14日、深夜にドライブしていた夫婦が道路脇に立つ謎の生物を発見した。その生物は全身が灰色で折り畳まれた巨大な翼をもち、異様に輝く赤い目をしていた。隙を見て夫婦は車で逃げ出したが、その怪物は「キイキイ」と鳴きながら、地面の上をすべるように高速で接近してきた。夫婦は保安官に連絡したが、現地に駆けつけた保安官のパトカーのサイレンは何もしていないのに勝手になりだし、しばらくやまないという奇妙な現象が起こった。
 
 また同日の夜には、ポイント・プレザント北東のセーラムでも目撃証言があった。外にいる犬が激しく吠えるので様子を見に行くと、暗闇に光る二つの赤い目が浮かび上がったという。翌朝飼い犬の姿は見つからず、後に死体となって発見された。これらの事件の後、モスマンの目撃が激増し、後世まで続くことになる「モスマン事件」のきっかけとなった。

 「モスマン事件」とは、目撃者や取材した関係者などが次々に死亡したり、不幸が訪れたりするという悲劇の連鎖のことである。1967年12月15日、ポイント・プレザントへの入り口であるシルバーブリッジが突然崩落したが、このときもモスマンが目撃されていた。帰宅ラッシュで混雑していた橋が何の前触れもなく崩落したため、46名もの犠牲者が出た。この事件はモスマン事件をテーマにした2002年公開の映画「プロフェシー」でも描かれた。モスマンはこのシルバーブリッジの事件以来目撃されていない。しかし映画プロフェシーの関係者には次々と不可解な出来事が振りかかっており、音楽監督など80人が謎の死を遂げているという。

 モスマンの正体については、大型の鳥類の見間違いという説と、エイリアン・アニマルという説がある。まず大型鳥類説だが、「キイキイ」という鳴き声はイヌワシに近いと言われる。猛禽類であるワシ、タカ、コンドル、フクロウなどは高度な飛行能力をもち、地面をすべるように飛行することや、自動車に追いつくくらいの飛行は可能と思われる。イヌワシなどは北米にも生息し、全長は最大95cm、羽を広げれば2m以上にもなる。夜の暗闇でならば誤認されてもおかしくはない。しかし、モスマン目撃後に糞や足跡が残っていなかったこと、何よりその後続発した奇妙な事件との関連性を考えると可能性は低いかもしれない。

 「エイリアン・アニマル説」とは、地球外からきた生命体であるという説だ。モスマンがUFOらしきものに接触している目撃談もあり、モスマンはエイリアンのペットであるとする説もある。いずれにしろその後の目撃がなく調査も進んでいないことから正体は分かっていない。