アメリカ合衆国、北西部ワシントン州シアトル、言わずと知れたメジャーリーグのマリナーズの本拠地として有名である。世界的にも名が知られた都市でアメリカの西海岸有数の世界都市としての役割を担っている。観光客も世界各国から訪れ、いつもにぎやかな都市だ。巨大なビルが建ち並ぶまさに都心の一等地であるこのシアトルには、ワシントン湖という湖がある。ダウンタウンから車で25分ほどのところにあり、休みの人もなるとカヤックやボートに乗った人々が行き交う自然豊かな湖だ。湖には、シアトルの中心部と東部とを結ぶ箸も2本架かっており、交通の要ともなっている。そんな、アメリカの首都の名前を冠にした湖には、不思議な未確認生物が住んでいるという噂がある。
その目撃談の歴史は古く、300年ほど前からその存在が噂されていた。人々はその怪物を「ウィラタック」と呼んで恐れていた。その姿は蛇かナマズのように細長く、全体に黒く光っておりその全長は9メートルにもなると考えられている。また、体にはこぶが付いているという証言もある。
そもそも、このワシントン湖は1950年代になると汚染が目立つようになっていた。遊泳は一切禁止されており、その透明度も1メートルほどであった。それがその後の州の下水処理の見直し等によって現在では透明度7メートルほどにまで回復したのである。そして、この「ウィラタック」の有力な目撃情報があったのもその後の話である。
それまでこの怪物の目撃情報はちらほらとあったものの、すべて現地の人の間での話であり、信憑性の強い証拠となるものがない状態であった。それまではただの噂だったのだ。それが、注目されるようになったのは、1968年のことである。元軍人であるハリー・B・ジョセフが「ウィラタック」を目撃したのである。また、その際には証拠となる写真を撮っていた。彼によるとその怪物の姿は全体が黒っぽく光っていておよそ10メートルほどであったそうだ。
この証言があってから「ウィラタック」の存在の可能性は一気に注目を浴びることとなった。その後、この怪物はワシントン湖のみでなく、ビュジェット湾でも目撃されていることがわかった。ワシントン湖とビュジェット湾は地下でつながっていおり、そこから移動しているのではないかと推測されている。ということは、つまりこの怪物は淡水でも海水でも生息することができるようである。
現在では、オリバー・タットヒルとダン・スチュワートという二人の人物がこの怪物の捜索を続けており捜索が続いている状態となっている。だが、その調査には今のところ目立った進展はないようである。また、さらに有力な手がかりとしてこの「ウィラタック」の正体はチョウザメではないかという説もある。チョウザメの種類の中には淡水性のもの、あるいは鮭のように遡河性のものもいるのだ。そのような種類のチョウザメが住んでいて、それが突然変異によって巨大化したものが目撃されたのではないかとされているのだ。また、1968年の目撃情報に関しては、それ以前の汚染によって薬物汚染された魚の姿をみたのではないかという意見もある。いずれの説にしても現在に至るまでまだ確たる証拠は見つかっておらず謎のままとなっている。
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