トッシーとは、北海道にある洞爺湖に生息しているとされる、湖の巨大未確認生物である。北海道の屈斜路湖で目撃されたクッシー、鹿児島県の池田湖で目撃されたイッシーと合わせ、日本三大水棲怪獣と称されている。
姿形は、ネッシーのようなプレシオサウルス型とは違い、その目撃証言から、丸太のような巨大な大蛇のような姿だといわれている。泳ぐときには、丸太が経ったようにクネクネと泳いでいたという目撃証言が存在する。
そうは言っても、目撃証言はきわめて少なく、正体を特定するのが困難な状況でもある。
最初の目撃証言は、1946年頃、当時の国鉄の職員が、洞爺湖の湖面に見たことのない奇妙な生物が泳いでいるのを目撃したとされている。
1977年4月には、洞爺湖畔のホテル改装工事の作業員が、湖面にうごめく生物を、複数回に渡って目撃している。彼は「丸太が上下左右にクネクネとうごめくようにして泳いでいるようだった」と証言している。伊達市の看護師Sさんも「湖畔にあるドライブインから、人間ほどの大きさの丸太のようなものが、くねくねと水面を泳いでいた」と同様の証言をしている。
2005年には、作家の山口敏太郎が、虻田町役場観光振興課に取材を試みたが、「この20年ほどは目撃証言はない」といわれたという。
また、洞爺湖の中島に生息するエゾシカを見間違えたのではないだろうか、とする説もある。メスの奪い合いで負けたオスのエゾジカが、湖面を渡っていく姿がしばしば確認されるためである。
しかし、エゾジカ誤認説に関しては、エゾジカの泳ぐ姿を「丸太がクネクネと泳ぐように…」と、見間違えるには無理があるとの理由から、疑問が残ることもまた事実である。
正体に関しては他にも諸説あり、流木や湖底に沈んだ倒木が、天然ガスによって噴き上がったのではないかという説や、ナマズやウナギが巨大化したものなのではないかという説などがあるが、いずれも信憑性は低い。
また、洞爺湖のある地域に昔から住んでいた先住民族・アイヌの神話の中に、湖に存在する怪物が描かれていることも見逃せない事実だ。その怪物は、大蛇の姿をした邪神といわれており、名前が「サスソモアイェプ」または「ホヤウカムイ」「ラプシヌプルクル」ともいう。夏場や炉端でこの神の名を口にしてしまうと、火のトラブルが起きるとして恐れられていた。さらに、この怪物はひどい悪臭であり、通った道の生物はすべて死に絶え、すべての草木も枯れ果ててしまうと言われている。姿は大蛇のようで、背中からは翼が生え、目と口が赤く縁取られている。
そのような伝説があることから、その怪物が存在していたという説や、それに近い存在の生物だという説も存在する。
一概にその説を否定できないのは、北海道内の他のエリアでは、この怪物を邪神としているのだが、洞爺湖周辺のみにおいては、良き神と崇められており、酒やイナウ(木幣)を捧げられている存在であることなどが関係している。
また海外でも未確認生物と神話の中の怪物が一致するという事例は数多く存在する。カナダのオカナガン湖に生息するオゴポゴなどが代表例であり、これをただの偶然だとは一蹴することは容易にできることではない。
コメントをするには会員登録が必要です