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ケサランパサラン

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吐く息が白く、だんだん寒くなる時期、どこからともなくフワリフワリと飛んでくる白い毛玉の様なものをご存じだろうか。目撃情報や捕まえた話も多いのに、未だ解明されていないその物体の名は、ケサランパサランという。日本のみならず、世界各国で目撃例があり、日本では古来より『持ち主に幸運を与える』ものとして語り継がれている。その容姿同様に可愛らしい名前の由来としては、16世紀(戦国時代頃)から交流のあるスペイン語の『ケセラセラ』からくる説、梵語の『袈裟羅婆裟羅』からくる説、『パサパサした毛の様なも』のからくる説、東北地方の『さっぱりわからん』の意味の言葉からくる説など様々だ。一つ一つが妖力を持った妖怪でおしろいを食べて増え、持ち主に幸せを呼び込むといわれる。そのため、代々密かに伝えている家もあるといわれている。山形県鶴岡市の加茂水族館ではケサランパサランと思われるものが展示されているが、ここでは『ワシやタカ、フクロウなど猛禽類がウサギのような小動物を食べた際排泄した毛玉(ペリット)と説明されている。また東北など寒冷地域においては、小動物捕食の際、食べ残した毛皮の皮膚の部分が縮まり、毛を外側にして丸まったものとも言われている。そのためか、東北地方の妖怪『けうけげん』として、度々マンガやアニメ、ゲームに登場している。正体としては、これら動物性の説のほか、アザミやオキナグサ、ブタナなどの花の冠毛、ガガイモの種毛という植物説があり、おしろいを食べて増えることから、『綿状のカビ』という説もある。また、雪虫やアオバハゴロモの幼虫が転じて…という説もある。ではケサランパサランはどこからくるのだろう。『雷と一緒に降りてくる』や『長生きした狐の尾の先にできた玉が切れてケサランパサランになる』『ビワの木からフワフワ現れる事からビワの木の精と呼ばれる』など、実に神秘的な誕生説がある中、『1つのケサランパサランを桐の箱の中で育てていたら、ある日2個に分裂していた(へその緒のように繋がっていた)』という実に現実的な生物誕生説もあるといいます。逸話的なところでは、ケサランパサランを密かに育て、数々の幸福を得た人が亡くなった時、ケサランパサランがフワフワとどこかへ飛んで行ってしまった後、一族は不幸に見舞われてしまったという話がある。つまりケサランパサランは、幸福を与えてくれる精霊的な何かであると共に、手放した者を不幸に貶める悪霊である可能性がある。この点は、座敷童の件とも類似していて、この二つは同じものとして語られることがある。また、ケサランパサランの中には薄汚れた色のものを持っていると良くない事が起きるという話もあるが、純粋なおしろいを手に入れるのが難しい現代は、着色料の入ったファンデーションで育て、ピンク色になったケサランパサランを飼っている人もいるという。ピンク色が不幸を呼ぶかどうかは今のところさだかではないらしい。簡単に捕獲する事ができ、穴の開いた桐の箱におしろいと一緒に入れ、飼う事も可能なケサランパサランは、ネットやテレビでもたまに見かけることがあり、探偵ナイトスクープという番組で取り上げられたことがある。人々の身近に昔からいる、この不思議なものはもしかしたら、今後科学的に解明されてしまうことがあるかもしれない。しかし、何だかわからないが幸せを運んできてくれる妖怪ケサランパサランとして、このまま『寒い日人々の心にホッコリ温かみを与えてくれるもの』でもいいのかもしれない。