生息地:中国
大きさ:体長約30センチ、重さ約2キロ
特徴:丸い形で、地中より発見される。自己復元能力を持ち、大きく成長もする
推測される正体:変形菌の新種である可能性がある
太歳とは道教に伝わる星の一つ。天球上で、木星の反対側を運行すると考えられた架空の星だ。この星は太歳星君として神格化されている。三面六臂(さんめんろっぴ)の祟り神であり、人々は太歳を示す方角に注意を払った。
この太歳は地中に化身を持つとされた。地中に隠れた肉の塊で多数の目が付いており、木星の動きに合わせて地中を移動する。宗代の書「太平公記」には、太歳の方角に当たると知らずに土木工事を起こった結果、この化身を掘り当ててしまい、家族全員が死に絶えてしまった男の話が書かれている。
だが、この太歳の化身、食べると美味であったという話もある。この化身自体を太歳と呼ぶ場合もあり、秦の始皇帝が不老不死の薬を探させた際に太歳も含まれていたという。肉霊芝、肉万年茸とも呼ばれ、地理書「山海教」や薬草について記した「本草網目」にも記述があるのだ。つまり化身の方の太歳は完全な作り話ではなく、何かしら実態があったと考えられるのである。
2005年、広東省佛山市にて謎の物体が地中から発見された。浅黄色で黒い斑点を持ち、縦30センチ、横15センチ、高さ15センチ、全体的に丸い形をしている。底部は平らで、一つの小さな穴が開いている。表面に力を加えて変形させるとすぐに元の形に復元する。また表面を傷つけた場合は粘液をしみ出させて、傷を修復してしまう。
また2008年にも似た物体が発見されている。こちらは発見当時、灰色のボール型であったが、徐々に茶褐色の平たい扇形に変化していったという。
これらが伝説にいう太歳なのではないかという意見がある。伝説そのままではないが、これと同じものに話の尾ひれが付いて伝説の太歳になった、とは考えられないだろうか。そして自己回復力や成長する点から、発見された太歳は生物である可能性もあるのだ。
動物のように動き回って栄養を摂取し、植物のように胞子で繁殖する変形菌(粘菌)という生物がいる。発見された太歳はその変形菌の一種ではないか、と考えられている。実体がある以上、いつの日が正体が明らかになるのかもしれない。
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