マムランボは南アフリカの原住民に古くから知られてきた爬虫類型の怪物。
人を襲って食う恐ろしい怪物として知られるが、コサ人の伝説では幸運をもたらし、敵を退治してくれる守り神の側面を持つ。さらに生殖の象徴であり、美しい女性に変身して男を誘惑する。それと知らずにマムランボを家に招き入れると、家族の男たちはことごとく殺されてしまう。また豊穣の象徴でもある。ビールは古代のメソポタミアやエジプトから広まったが、南アフリカではマムランボがその守護神になっている。
マムランボの姿は巨大な川ヘビとして伝わっているが、近年の目撃情報は体長20m、頭は馬、身体は魚、首は太いヘビのようで目は青い。夜になると身体から青白い光を発して人を魅惑するという。大雨を好みもっぱら雨季に姿を現す。
マムランボの被害で特徴的なのは、人を襲ったあとに死体から皮を剥いで最終的に脳と血を吸い取るという他の未確認生物には見られない残忍さだ。そのため、現在では「ブレイン・サッカー(脳みそ吸い)」という別名で呼ばれている。
南アフリカでは1997年に相次いで犠牲者が出たため、国内各紙やロイター通信がニュースを報道し世間の注目を集めた。マムランボの被害が起ったのは、東ケープ州にあるマウント・エーリフ近郊のムズィントラファ川流域だ。
被害にあったズールー人の長老から報告を受けて、4月30日に省の農業大臣が少なくとも7人が犠牲になったと発表し、武装した自然保護官を組織して怪物退治をするように要請した。
フリージャーナリストが独自に村人の聞き取りをした結果、1月からすでに9人の犠牲者が出ていることが分かった。一ヶ月前に埋葬された9人目の犠牲者は6歳の少女だった。父親は怪物に娘が川に引きずり込まれるのを目撃し、銃で怪物を殺したと主張している。
地元の警察官は実際に雨季の大雨で川が増水し溺死した人々がおり、犠牲者の大半は見つかったと述べた。
マムランボの存在に懐疑的なこの警察官によると、犠牲者の遺体は水に浸かっている間に川ガニに顔やノドを食べられており、中にはカニが群がっているものもあったと証言している。そして、一連の犠牲者はマムランボの仕業ではないと否定した。これに対して地元住民はマムランボが迷信ではないと反論し、ある年配者は飼い犬の後を追って巨大なヘビを見たと主張している。
事件を受けて1997年にドキュメンタリー・フィルムが製作された。
2007年にはアメリカのモンスター・ハンター番組「デスティナーション・トルース」が、現地調査を行って捕獲を試みている。地元ではマムランボの報復を恐れて話をしたがらなかったという。
現在までのところ、正体は巨大なヘビかワニという説が有力だ。
それとは別に、未確認生物研究家はマムランボが水棲動物で長い首を持つことからエラスモサウルスとする説を唱える者がいる。この恐竜は首長竜として知られるプレシオサウルスの仲間で5000万年前に生きていた。また、原始的なクジラの一種という説もある。原クジラ類に分類される古生物は陸上動物が水棲動物に進化する過程にあり、現在のクジラと違って首や手足がある。いずれの説も、すでに絶滅した生物の生き残りで、伝えられるマムランボの姿に近い姿をしている。
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