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皆さんはチペクウエという未確認生物をご存知だろうか。今回は、アフリカで伝説的な怪獣となっているこの未確認生物について書きたい。
 1920年代、とあるイギリス将官が赴任地であるリベリア共和国首都モロンビアで、当時イギリスで流行っていた怪獣映画を休暇中に原住民と共に鑑賞していた。作中のメインシーンにてトリケラトプスが登場し、将官もドキドキしながら映画に見入っていたところ、原住民が興奮した様子で急に『お前たちはチペクウエを知っているのか!?』と叫び、将官は驚いた顔で、原住民に問いただした。すると原住民はチペクウエは実際にこの地に存在する、アフリカ人なら誰でも知っている恐ろしい怪物だ、と瞬く間に様々な目撃証言、伝承を話し始めたのである。ここからイギリスにチペクウエの情報が広まった。
 原住民の証言からチペクウエとは、アフリカ現地語で“悪神獣”という意味で、昔から原住民が恐れていた怪獣だという。チペクウエの体は滑らかで黒っぽく、全長は大きいもので15mほどもあり、頭部にはサイよりも長く鋭い角を持っている。チペクウエは実際に、アフリカの村々を襲ったという情報も存在する。ケリソニーという町が有名な例で、400人ほどのこの集落を、チペクウエは襲い、壊滅させたそうである。チペクウエは『エメラ・ントゥカ』、象を殺すものという異名も持ち、その名の通り象やサイをも殺すほどの獰猛な怪獣である。
 その正体は色々と諸説あるが、トリケラトプスを彷彿とさせる恐竜類の角龍であるという説と、サーベルタイガーのように長い牙を持つネコ科の猛獣であるという説が有力となっている。共に太古の猛獣であることから、一貫して太古に存在した絶滅種の生き残りであるというのがすべての説の共通したものとなっている。
 チペクウエに関しては、イギリスの交易商人が取材したり、前述した将官が話を本国イギリスに持ち帰ったりと、主にイギリスで有名になった。
 特にその存在を決定付けたのが、イギリスの探検家がアフリカのコンゴ河近くの集落にてチペクウエと遭遇したという話である。
 彼がコンゴ河周辺の集落、リプルに立ち寄った際に、『真っ赤な口をした小山のような怪物』が存在するという噂を耳にした。そこで彼は周辺の森林を捜査・探索した結果、それと思しき生物と遭遇し、また直径1m以上はあるであろう足跡も目撃し、足跡については撮影し、学会にて発表したのである。これがきっかけで、チペクウエらしき大きな生物がアフリカに存在すると認知されることになったのである。
 怪獣や恐竜好きが高じてUMAに興味を持った者が多く存在する中で、チペクウエはたちまち人気UMAとなった。
 UMAはその人気から、いろいろな雑誌などで取り上げられ、また模型が作成されるなど、今なお人気のある未確認生物である。
 それに加え、イギリス人を筆頭に比較的目撃証言が多いこと、またアフリカ原住民の中でかなりの認知度のある怪物であること(とある地域では『水のライオン』と呼ばれているところもある)から、おそらくその存在は認められて良いだろう。読者の方も興味を持ったら是非ともこの、太古の絶滅種の生き残りとされるチペクウエを調べてもらいたい。