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環状列石は世界各地で見られる古代遺跡の形の一種である。その中でもイギリスにあるストーンヘンジは世界的に有名であり、現在も多くの謎が残されている遺跡の一つである。ストーンヘンジが初めて文献に記載されたのは1130年頃のことである。それまでストーンヘンジの存在は知られてはいたものの、多くの歴史家はストーンヘンジに関する言い伝えを信じており、深く調査をしなかったのである。その歴史家たちの気持ちもわからなくもない、それほどストーンヘンジは神秘性溢れる遺跡なのである。ストーンヘンジは中心に5組の高さ7メートル程の組石が馬蹄型に並べられ、その周囲に30個の3から4メートル程の巨石が円状に配置された環状列石であり、人間の手で運ばれたものだとは到底思えないからである。そのため、多くの人は長らく魔法や巨人の手によるもの、または悪魔の手によってストーンヘンジは創られたと信じていた。公式に発掘調査が行われたのは1798年のことであり、1900年の発掘で鹿の角から作ったつるはしによって巨石の下に穴が掘られたこと、そして巨石が遺跡のある地で成形されていたことがわかっている。そして研究が進むにつれ、ストーンヘンジの巨石は紀元前2500年から紀元前2000年までに環状に起てられており、環状列石を囲んでいる土塁と堀は紀元前3100年頃には創られていたと判明した。現在のイギリス人の直接の祖先にあたるアングロ·サクソン人がストーンヘンジのある地へ移住した時期は5世紀であるので、イギリス人が入植する遥か前からストーンヘンジは存在していたことになる。
そんな遥か昔に建設されたストーンヘンジ、その調査によって紀元前以前の社会情勢が少しではあるが明らかになっている。ストーンヘンジの建設は2000年間の間に大雑把に分け3段階の建設を経ている。第1段階目の建設では1日460人もの人手を使って建設され、第2段階目では15000人、第3段階目では830000人もの人手が必要とされていた。このことから、建設当時ストーンヘンジ周辺では人が多く、社会として機能した組織が形成されていたことがわかる。また、遺跡のはっきりとした目的は定かではないが、直径100メートルの環状に並んだ巨石には天文学の知識が使用されている。夏至の日には高さ6メートルの玄武岩からできた「ヒール·ストーン」から円の中心にある祭壇石を結んだ直線上に太陽が昇る。このため、ストーンヘンジの建設に関わった人物の中に天文学、あるいは暦に詳しい人物がいたことが明らかである。また、建築の知識もストーンヘンジには見受けられ、巨石が倒れないように凹凸に加工されるなど、設計当時の技術は比較的高度であった。それに加え、巨石に彫られた武器のデザインや中央の馬蹄型は同時代の環状列石の中でも異例であり、ストーンヘンジの調査でわかったものはどれも先史時代のヨーロッパのものとは思えないものばかりである。そのためストーンヘンジは人類を超え、宇宙人となんらかの関わりがあるという見方もあり、この地で何度かUFOの目撃情報もある。
そんな人類の謎、また宇宙人の可能性を示唆するストーンヘンジであるが、近年の調査で新たな事実が判明した。ストーンヘンジ周辺、約12平方キロメートルの地下3メートルを現代技術をつかい3Dスキャンした結果、17個もの遺跡が存在することが明らかになった。その内の一つは33メートルもの木材を使った台形の屋根を持った約6000年前に建設されたものであると推測されている。しかし、あくまでも地中を3Dスキャンしたものであって、実際に発掘してみるまで真相は謎のままである。いったいどのような組織が、どのような目的で、そしてどのような方法で巨石を運び起ち上げたのかは未だに明確にはなっていない。