残酷でおぞましい事件に隠された真実とは。衝撃的結末に、撃ちぬかれる。

櫛木理宇『虜囚の犬』

あらすじ

白石洛は、キャリアウーマンの妹の果子のサポートをして暮らす「専業主夫」。ある出来事により家裁調査官を辞めてからは、得意の料理と趣味の読書が日常だ。しかし友人で刑事の和井田が、ある事件の相談にやってきた。白石がかつて担当した少年、薩摩治郎。7年後の今、彼が安ホテルで死体となって発見されたという。しかし警察が薩摩家を訪ねると、中には鎖につながれ、やせ細った女性の姿が。なんと治郎は女性たちを監禁、虐待し、その死後は「肉」として他の女性に与えていたという。かつての治郎について和井田に聞かれた白石は、「ぼくは犬だ」と繰り返していた少年時代の彼を思い出し……。彼はなぜ女性を「犬」として監禁したのか。白石の調査により浮かび上がる、複雑な人間関係。そして、女性たちを魅了する美しい少年が犯罪に手を染めていく過程と、治郎の事件が繋がったとき、物語は驚きの展開を見せる。

著者紹介

櫛木理宇(くしき・りう)

1972年新潟県生まれ。
2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。
同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。
幅広いオカルトの知識と、今を生きる人々の瑞々しい感情描写で読者の支持を得る。
著作には「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ、『侵蝕 壊される家族の記録』『瑕死物件 209号室のアオイ』(以上角川ホラー文庫)、『世界が赫に染まる日に』(光文社文庫)、『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫JA)、『鵜頭川村事件』(文藝春秋)、『ぬるくゆるやかに流れる黒い川』(双葉社)、『虎を追う』(光文社)などがある。

書誌情報

『虜囚の犬』
著者:櫛木理宇
発売:2020年7月9日(木) ※電子書籍同日配信予定
定価:本体1700円+税
発行:株式会社KADOKAWA
初出:本作は、「文芸カドカワ」2019年8月号、「カドブンノベル」2019年9月号~2020年4月号で配信されたものを加筆修正のうえ単行本化したものです。

書誌情報

https://www.kadokawa.co.jp/product/321912000319/