ゲゲゲの鬼太郎に出て来たことによって有名になった悪魔ベリアル。
じっさいはどのような悪魔だったのだろうか?
◆悪魔ベリアルの起源
ベリアルの登場はトーラーと呼ばれるモーセ五書に見られる。
モーセ五書とは旧約聖書の最初の五書のことでモーセが書いたとされていたが、近代からはモーセが筆者とは否定されている文書である。
このトーラーではベリアルはヘブライ語で「邪悪なもの」「無価値なもの」「無益なもの」という意味の言葉で出てくる。
新約聖書外典ではベリアルは、もともとサタナスという名前の天使であり、その後地獄を管理するサタナスという名前になったと語っている。
もとは自分が第一天使であり、ミカエル、ガブリエル、ウリエル、ラファエル、ナタナエルらが後から造られたのだと話している。
この辺りが、サタンやルシファー、サタナエルと同一視される理由だと思われる。
◆悪魔ベリアル
ゴエティアにおいてベリアルは序列68番目の大悪魔であり強大な王とされている。
80の軍団を率いているという説、50の軍団を率いているという説がある。
堕天使でありルシファーの次に造られた天子であると語り、もとはミカエルよりも階級の高い天使であったとも語る。
ベレト、アスモダイ、ガープなどと共に72人の悪魔を統率していた。
優れた使い魔を与えてくれ、出世や友情を長続きさせてくれるなどの助力を尽くしてくれるいっぽう、噓付きであり、生贄を捧げるか、神の名において真実を語れと命令をしないと嘘ばかりを教えるとされる。
ただ、自分に服従する者に対しては必ず助けてくれるという一面も持ち合わしている。
ミカエリウスによるデーモンの階級のデーモン階級では第3階級の力天使にとなっている。
ルシファーと同一視されていることもあり七つの大罪の「傲慢」を司る悪魔ともされる。
ソロモンに封印された72柱の1柱にも数えられるが、後に人間により封印が破られ、悪魔たちが地獄に帰る中においてベリアルだけが人間界に残り嘘の神託を与え続けたとされている。ここでも嘘吐きで真実を語らない悪魔とされている。
人間界の女性に欲情し堕ちた天使とされるため、性格は淫乱で悪事を美徳とする悪魔とされている。
死海付近に存在した町である「ソドムとゴモラ」に背徳をもたらし、姦淫、獣姦、同性愛を教え、町が崩壊するきっかけを作った悪魔であるとされる。
ミルトンの「失楽園」にも登場するが”天から堕ちた天使たちの中で、彼ほど淫らで、不埒な者などいなかった”と述べられている。
「この不愉快なるベリアルの書」においてベリアルは地獄の管理者として神に対し「イエスが地獄の権利に干渉し、地上、地獄に住む者の支配権を強奪している」と訴えた。
ベリアルは裁判を有利に運ぶために裁判官であるソロモン王の機嫌をとり取り込もうとするが、裁判はイエスに有利に進んで行き判決はイエスの有利な結果となる。
ベリアルは控訴するが、最終的にイエスは無罪になっている。
ただ、ここでサタンは地獄に堕とされた者に対し権威を振るうことを認められている。
プランシーの「地獄の辞典」でベリアルはトルコ大使として紹介されている。
◆悪魔ベリアルの姿
ベリアルの姿は「火車、燃え上がる戦車に乗った堕落しきった、しかし美しい天子の姿で現れる」または「2つの首がある、双子である」ともされる。
明朗な声で話をし、気品が感じられる話し方をするとされている。
しかし「この不愉快なるベリアルの書」の挿絵に出てくる悪魔ベリアルは決して美しい天使で描かれてはいない。どちらかと言えば獣に近い顔、姿で描かれている。
どうやらベリアルは口が達者で人を悪事に染める典型的な悪魔で、鬼太郎に出てくるベリアルよりずっと強大な悪魔のようである。
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