消えるヒッチハイカー

アメリカは広大な土地のせいで地方に行くと、車がない生活は考えられない。隣の家まで数キロの距離があるなんて話はザラだ。そのため、家族で1台ではなく一人1台車を持っているといっても過言ではないくらい、多くの人が車を所有し移動手段として使っている。

ある日、一人のドライバーが車を走らせていた時の話。

家へ帰る時間がいつもより遅かったこともあり、彼はかなりのスピードで飛ばしていたが、前方に人影を発見し速度を緩めた。彼の車のライトの先には親指を上に立てた女性がいた。いわゆる「ヒッチハイカー」というやつだ。

前述したとおりアメリカは車がないと生活できないくらい広い。なので、車を所有していない人がだれかの車に乗せてもらうことは日常茶飯事なのだ。

「きっと困ってるんだろう、こんなに夜遅くに」

ヒッチハイカーをよく見るとまだ10代くらいの少女だった。車を止め「乗って行けよ」と言うと、少女は無言で車の後部座席に乗り込んだ。

(折角乗せてやったのに、無愛想なやつだ。)

ドライバーは思ったが「どこに行けばいい?」質問した。少女は自分の自宅があるという住所をドライバーに告げた。

ドライバーが道を走らせること数十分。
少女に教えてもらった住所の家が見えてきた。

「もう着くよ!」そう言って後ろを振り向くと、さっきまで座っていた少女がいなくなっていた…

パニックになったドライバーが家まで助けを求めに行くと、1人の男が出てきた。ドライバーは少女のヒッチハイカーを乗せてここの家まで辿り着いたこと、家まで着くと少女は消えていたことを詳しく説明した。

男は説明を無表情で聞いている。そして男は言った。

「君で7人目だよ。死んだ妹をこの家まで乗せてくれたドライバーは。」