中編5
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心霊写真と母

昔の不思議な体験の話です。

今は殆ど霊体験はありませんが、高校卒業までは頻繁に霊体験をしていました。

その中の一つのお話

その出来事は、中学の修学旅行から始まった。

旅行先は東北、金色のお堂があるお寺やシラタキな滝のあるあたり。

丁度、米不足で日本がエラい事になっていた年の事。

私も同級生達も、当時主流だった使い捨てカメラを持って修学旅行に出掛ける。

私の使い捨てカメラは36枚撮り。

その頃にしては枚数の多かった方だ。

修学旅行でダダ上がりのテンションも手伝い、行く先々でバシャバシャ写まくっていた。

お寺や滝で、湖や城で、車窓から見える海底トンネルの内部やら…

家に帰り着く前に全てのフィルムを使い果たしたカメラをホクホクしながら近所のコンビニで現像に出した。

因みに修学旅行中、古い旅館に泊まったにも関わらず、これと言って怖い事も起こらずに、友達共々拍子抜けしたものだ。

2〜3日して写真を引き取りに行き、帰宅。

さて、ちゃんと写ってるかな〜、と写真を広げる…

笑ってしまった。

心霊写真の山である。

某お寺では白っぽい黄色の帯が縦横無尽に…

湖では木々に黄緑色のスライム(DQじゃない方)が写り込み…

城では白いモヤが全体を覆う…

滝でも白いモヤが…

白いモヤが鬼の形相。

人の顔になっていた。

しかも確認できるだけでも3〜4人はいる。

36枚撮り中29枚が所謂心霊写真。

普通の写真は海底トンネルと、旅館で撮った写真のみ。

ここまで来ると流石に笑える。

心霊系雑誌に送れば賞金(?)が貰えるのではないかと思い、早速母に見せた。

私「かーちゃん、かーちゃん、修学旅行の写真が心霊写真だらけw」

母「どれ?…

あら!アンタ!お寺さんやなんかで写真とったのかい?!

あらら、これなんかバッチリ顔でしょ!」

怒られた。

私「だって、みんな撮ってたし…」

母「言い訳しないのっ!だめだわ、これ焼くよ!」

あ〜ぁ、じゃあ神社に持ってかないといけないなー。

と、投稿は諦めた。

と、母が徐ろに写真とネガ、スコップ、ライター、あじ塩をもってベランダから庭に出ようとしている。

?!早速呪われておかしな事になったのか?と焦る。

私「ちょっ!何すんの?」

母「へ?何って、燃やすのさー。」

どうやら庭でお焚き上げをやる気マンマン。

私「神社とかに持ってくんじゃないの?お祓いとかさぁ。

塩もあじ塩?!」

母「大丈夫大丈夫、同じだってば。」

ここからはダイジェストで。

止まらない母ザクザク穴を掘る

バスケットボール大の穴完成

写真とネガを大胆に放り込む

あじ塩を軽く振りかける

ライターで着火

…するも燃えず

キャンプの余りの文化焚き付け投入

ボウボウ燃える

灰になった物に追いあじ塩(大さじ2程)

スコップでまぜまぜ

埋めて南無南無

と、何とも豪快。

母「ふー。これで大丈夫!」(?)

呆然としていると当時小学生の弟帰宅。

なにしてるのー?と。

ヤバイ!私と母は焦った。

この弟、前回の話に出てきた弟である。

小学校に上がるまではちょくちょく霊の様な物を見て大泣きしていたが、この時は零感。

むしろ、幼年期に見てしまったオバケのトラウマで、物凄いビビりに育ってしまった。

コイツに、庭で心霊写真を燃やして埋めたなんて事がバレたら…確実に布団がエラい事になる。

夜中に私か母を起こしてトイレに行くどころか、起こしに来る事すら怖がり絶対漏らす。

母「いや〜、アレ。

タマネギ植えるから肥料まぜたの、土に。

塩混ぜるといいんだってさ。

タマネギタマネギ。」

と苦しい言い訳。

弟「そっかー、タマネギ出来たら掘るのやっていーい?」

信じた。

雑草生い茂る庭のど真ん中にタマネギを植えると言う話を信じた(笑)

知らぬが仏だ。

と、母の暴挙は一先ずここ迄。

その翌日。

日曜だった為、母と2人で朝食の用意をしていると、徐ろに母が語り出した。

母「ちょっと〜、昨日の写真さ、鎧着てた人いた?」

私「わかんない、人は顔だけだったじゃん。」

母「う〜ん。」

話を纏めるとこう。

母が庭に面した1階の寝室(父は茶の間、私と弟は2階)で寝て居ると、何やら曇りガラスの窓に人影が…

カーテンはレースのみなので結構クッキリ見えたそうだ。

人影は3人で、どうやら列をなして家の周りを外壁をなぞる様に歩いていた。

低い呻き声を上げながら、重い足取りで一歩踏み出すごとに…

ジャリッ…ガシャ…ジャリ…うぅ…

と、音が聞こえたと言う。

「ガシャガシャうーうー言ってたし、肩に何か出っ張りあったから絶対鎧だわ〜。」

と、母。

自業自得と思いながらも、かなりビビっていた。

私「どうすんの〜、燃やしたからだよ〜、家に入ろうとしてるじゃん〜。」

私涙目。

母「あじ塩がだめだったのかね〜?」

絶対違う、絶対それだけじゃない。

と、そこに弟がやってきた。

既に半泣き。

弟「おかーさ〜ん…寝てたらね、庭に怖い人いた〜。

鎧の人いっぱい〜(泣)」

うわぁ、バレた。

母はホラ、やっぱり鎧でしょ?と、したり顔。

それどころじゃないですよ、と。

弟「夜に誰か歩いてて、外見たらこっち見てたー!!

んで、ビックリしたら朝でいま起きたー!」

混乱している様です。

しばし黙り込む母。

母「よーし!だーいじょうぶ!おかーさんがやっつけるから大丈夫〜。」

私「はぁ?」

弟「ぼっ…ほんとに〜?(泣)」

母「ほんとほんと。

おかーさん怒っとくから。」

弟は取り合えず泣き止む。

私は呆気に取られる。

取り合えず母は面倒くさくなって来たのか「はい、この話やめ!オバケくるよ!」と、話をぶん投げた。

結局、私は鎧の人を一度も見る事はなかった。

弟は一度チビったが、その日以降見ていない様だ。

特にそれ以外に庭の怪現象は起きる事がなかった。

ほんとうに母がやっつけたのか?

成人してから久し振りに聞いてみた。

私「そういえば、庭の鎧の人さー。

あれ、結局どうなったの?」

母の暴挙は終わってはいなかった。

母「あぁ、あれねー、懐かしい。

なんか腹立ったからさー。

次の日の夜中、あの人達が歩いてた所にぐる〜っ!っと…

あじ塩と焼酎まいてやったの!

コラー!帰んなさい!って言いながら。」

私「マジで?!」

漫画『あたしンち』のお母さんに似た外見のおばちゃんが、夜中にネグリジェ姿で4L焼酎とあじ塩のビンを振り、怒りながら家の周りを練り歩く。

逆に鎧の人達の安否が気になる。

怖かったろうに。

と言うか謝りたい。

長文失礼いたしました。

-終-

怖い話投稿:ホラーテラー 姉さん  

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