短編2
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タレントとの遭遇

何年か前、母がある駅ビルの掃除のパートをしていた時の話である。

トイレの掃除をする為、清掃中の看板を入口に掲げてやり始めた時に若い女の子が、

『おばさん、ちょっと使わせて!』

と、ぶっきらぼうな言い方をして入って来た。

掃除をしているのにと思ったが快く、

『どうぞ…。』

と、言った。

しかし、その女の子は便器がある個室には入らず、洗面台の前に立ち、有ろう事か化粧ポーチを取出し、顔をいじりだした。

さすがにこれは直ぐには終わらないだろうと思い、

『スミマセンがこれから清掃しますので、お客様のお洋服が汚れてしまうといけません。ですから、お化粧なら下か上のトイレを使ってはいかがですか?』

そう言うとその女の子は、

『おばさんが他のトイレを先に掃除して来なよ。

もう、ポーチ出しちゃったし、面倒っちーし。』

仕方なく今までセッティングしたホースやモップをかたずけて、別の階に行こうとバケツを持とうとした時、

ぎっくり腰になってしまい、床にへたりこんだ。

『イタタタタターッ…!』

するとその女の子は、

『何やってんだよ!とっとと仕事しなきゃクビになっちゃうよ。その年じゃ次の職場なんて無いよ。』

母は痛みをこらえ、

『申し訳ございませんが、外にいる店員を呼んでいただけないでしょうか…。』

返って来た言葉はなんと、

『はぁー?おばさん、何言ってんの?あたしがなんでそんな事しなくちゃいけないの?訳、わかんない!』

そう言って出て行ったそうです。

ある日、家族でテレビを見ていると、

『ねぇ、この女の子の名前、なんて言うの?』

『あぁ、〇□△◇(W.C)だよ』

そう言った後、この話をした。

母は一言、

『常識や言葉使いや人間性は大事だね。

この娘自身の問題でもあるけど、周りの大人達がいけないねぇ…。

芸能人だからチヤホヤされているのがいけないのかねぇ…。』

人間が一番、怖いのかなぁと思いました。

ぎっくり腰ぐらいだったからいいけど、意識が無い人がいたらどうするんでしょう?

芸能人・一般人・老若男女問わず、助け合いの誠心が無くなって来たのかなと思う、今日この頃です。

最後に母がテレビを見て一言、

『この娘、あんまり可愛くなかったよ…。』

そう言ってました。

おしまい…。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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