「ふぅ…出来た!」
休日小学生だった俺達は、学校裏の雪山でカマクラを作っていた。
メンバーは俺、SチームとH、Aチーム。
少し離れたところにはH達のカマクラがあり、大袈裟に言えば雪合戦用に向き合ってそれぞれ要塞化していた。
. 壁
. ↓
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入口→ ┃
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(分かりづらくてすみません。左右対称にあると思って下さい)
それぞれが完成すると雪玉を大量に作り、いよいよ決戦の火蓋が切って落とされる。俺達は壁に隠れながら熱き戦いを繰り広げるのだが、H達が玉切れをおこしたのか一向に姿が見えない。
チャンス!と踏んだ俺達は、ここぞとばかり集中砲火を喰らわすた。通常10㎝ほどの雪玉が、途中から特製の元気玉(勝手に命名)20㎝はある玉で壁を壊す作戦に切り替えた。
やがて壁が壊れ始めたので、俺は接近戦に持ち込もうと雪玉を手にカマクラから離れると、顔に雪玉が当たった。
H達が反撃してきたのか?と思っていると、Sが俺の上着を引っ張っている。
「どうしたS大佐!?」
すっかりテンション上がりきっていた俺とは裏腹に、Sは何か怯えているように指を差す。
「あいつ……誰?」
えっ?と俺はSが指差した方向を見ると、H達のカマクラの後ろ、つまり入口側に雪玉を持った小さな男の子が立っていた。
男の子の顔は真っ白(舞妓さんのように)で無表情。何より異様なのは氷点下の中半袖半ズボンと有り得ない格好。男の子はただ黙ってこちらを見ていた。
「あいつおかしいよ…この時期に……それに人間があんなに白い訳ないよな?」
いつの間にか現れた男の子、風貌といい恐怖にかられた俺は叫んだ。
「H!おいA!」
何度も呼びましたが返事がなく、男の子は相変わらず黙って見てる。
おかしい、H達はどうしたんだ?と思っていると、雪の中から手が見える。
「生き埋めになってんだ!!」
俺は叫ぶと一目散に飛び出すと、Sもそれに続き急いで雪をかき分けた。
幸い発見が早かった為、HとAはなんともなかった。
「苦しかった〜死ぬかと思った」
とHが口にする中、辺りを見渡すと男の子の姿がない。Hに話すも、そんな子は知らないと言っていた。
結局なんだったのか分からないが、俺達と遊びたかったんだろうと自分に言い聞かせた。
助けてもらった形のHは、男の子にユキオと名付けたのだが、名前が気に入らなかったのか?その後男の子が現れる事はなかった。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話