短編2
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轢き逃げ

皆さんは幽霊等の心霊現象を信じるだろうか?

世の中には科学じゃ説明できない事もあるのは事実だが。

ちなみに、僕は否定派

だった。

一応、理学部だったし、そんなもの存在するはずないと思ってた。人間が恐怖を感じた時に、勝手に脳が都合よく作りだす幻影だと。

何より、僕自身そんな体験をした事がないし、ありえないって思ってた。

あの時までは。

―あれは、今からちょうど1年くらい前の‥今日みたいな蒸し暑い夜の事だった。

僕は、その頃大学院の院生で、研究浸けの毎日を送っていた。

朝早く起きて大学院に行き、終電ギリギリまで研究室に閉じこもり、帰宅するのは日にちが変わってから。

そんな毎日。

今思えば、ストレスが溜まって心の余裕みたいなものがなかったのかもしれない。

精神的にもギリギリだった。

だから、ある日の夜中、クタクタに疲れてたが気分転換にってことで、ドライブをした。

蒸し暑さでイライラもして眠れなかったっていうのもあった。

久々の運転は思いの外気持ち良くて、ついスピードが出すぎてた。

ドンッ‥‥‥!!

鈍い音と共に、僕は慌てて車を止めた。

やっちまった‥

車から恐る恐る降りると、首がねじれ、手足が人形みたいに不自然な曲がり方をした女が、道路に横たわっていた。白のワンピースが、じわじわ赤く染まっていくのがわかった。

顔は‥顔まで確認する勇気が僕にはなかった。

月明かりと外灯で、心なしかより不気味に僕の目に焼き付く。

ヤバい‥どうする。

警察に‥?いや‥ダメだ捕まっちまう‥

せっかく大学院まで出たんだ。おれには将来がある。

今までの努力が泡になる。

幸いな事に、目撃者もいない。

逃げるしかない。

僕は車に飛び乗り、無我夢中で走らせた。

汗だくだったが、たぶんこれはこの蒸し暑さだけではなかった。

完全にどうかしてた。

轢き逃げ‥犯罪だぞ?警察に電話しろ。今ならまだ間に合う、自首しろ。

いや、これからの人生に泥を塗りたくない。ばれない内にずらかるのが一番だ。

‥今日の事は何もなかったんだ。悪い夢だった。

僕の中で天使と悪魔が戦っていたが、悪魔の囁きに僕は負けた。

家に着き、ヨロヨロと玄関に座り込んだ。冷静になると、あまりの不安と罪悪感で吐いてしまった。

「おれは‥人を殺した‥。」

この事がきっかけとなり、僕の人生を変えた。

2に続きます。

怖い話投稿:ホラーテラー まるさん  

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