短編2
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おっさんとオレ

数週間前からオレの後ろには40代くらいのおっさん霊がいる。

別に危害を加えてくるわけでもない。

憑いている目的がまったくわからない。

ある日、出かける時、鏡の前で髪をセットしていると、おっさん霊が何かを持っている。

『なんだ?』と見てみると手鏡を持ってオレに後ろ髪がどうなっているか見せてくれていた。

意外と気が利く人だと思った。

おっさん霊にオレは、『なんでオレに憑いてるんですか?』と聞いてみた。

おっさん霊は『時間大丈夫?』とまったく関係のないことを言った。

腕時計を見ると確かに家を出なければならない時間だった。

家を出て少し歩いているとおっさん霊が、『今日、雨降るよ。傘買いなさい。』と言った。

オレは、『今日、降水確率10%ですよ。降らないですよ』と返した。

『いいから買いなさい』おっさん霊がちょっとキレ気味にオレに言った。

オレはビビってコンビニで傘を買ってしまった。

待ち合わせ場所で彼女と会い、二人と後ろのおっさん霊とでショッピングした。

おっさん霊が気になって後ろを何度もちら見してしまった。

そして、予約したレストランで彼女とおっさん霊とで食事をした。

オレは、この日、彼女にプロポーズしようと前々から決めていた。

しかし、なかなか言い出せない…

すると、おっさん霊が『緊張しないで。おじさん応援してるよ』と呟いた。

『なんで知ってるんだ!?』オレは、思わず声に出してしまった。

『どうしたの!?』彼女がびっくりした表情で言った。

『いや、なんでもない!』少し声が裏返った。

言い出すタイミングを見いだせないまま店を出た。

少し歩くと雨が降ってきた。

おっさん霊の言ったとおり雨が降った。

オレと彼女はおっさん霊のおかげで濡れずに済んだ。

傘を持つ手が触れ合って彼女の温もりを感じた時、オレに勇気が湧いた。『結婚してください!』真横に居るのに大声で言った。

両手が塞がってて指輪がだせない。『どうぞ』おっさん霊がオレの手に指輪を乗せた。オレは指輪を彼女に見せた。

彼女は『はい…』と涙を浮かべかすれた声で返事をくれた。

おっさん霊が『おめでとう。幸せになりなよ』と呟いて消えた。

オレは『ありがとうごさいました…』と心の中で感謝しながら彼女の指に指輪をはめた。

怖い話投稿:ホラーテラー さださましさん  

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