まさに今日、深夜の3時頃にあった出来事である…。
夜勤を終え、家に帰ろうと車を走らせていた。
少し雨が降っており、見通しが悪い中【ガーナVSアメリカ】戦が見たかった為、急いでいた。
いつもは大通りを走り、ガードをくぐって駅前を抜けるコース。
しかし、今日に限ってガード内の補修工事とかで迂回させられる羽目になった。
俺は迂回路は時間が係ると考え(現にえらい遠回り)、線路を渡るコースを選んだ。
そこは《開かずの踏切》で有名な場所だが、深夜も遅いから大丈夫だと鷹を括ってた…。
すると…、
カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン
踏切は閉まっていた。
そのうえ、長い貨物列車。
(こんな時にマジかよ!)
貨物列車が通り過ぎるのを待っていた時に踏切の手前にある綺麗な建物に目が行った。
本当、何気なしに…。
その建物はつい最近できた斎場だった。
(あっ…、斎場って此処にできたんだぁ…。)
そんな事を思っていた。
ガラス張りの中は待合室のように椅子やテーブルが見える。入口には受付もあり。勿論、誰も居ない…。
受付の横にはエレベーターがあった。
すると、そのエレベーターのドアが開いた。
甚平のような物を着た一人の男性が出て来て、キョロキョロしながら首を傾げていた。
(どうしたんだろ?)
その男性は外に出て建物を見上げると看板を確かめたような動作をして、また首を傾げていた。
(斎場が違っていたのかなぁ…。でも、この近くに同じような斎場は無いけど…。それに、甚平姿だから近所の人か?それか、斎場に泊まっている関係者かだな。)そん風に思っていた。
じっとその様子を見ていると男性と目があってしまった。
暗がりの中、男性は左右を確認すると小走りに俺の所に来た。
『スミマセン…。此処は何処ですか?何か知らない間に連れて来られたのはいいけど、誰も居ないんですよ。困ったなぁ…。』
場所を説明すると納得して、『どうも…有り難うございます。』と言って振り返った…。
その後ろ姿を見て、目を疑った…。
後頭部だけ、髪の毛が剃られていた…。それに…、手術した跡だろうか?大きな縫い目が見えた。
俺はその姿から目を離さなければと思い、顔を背けようとした瞬間に金縛りにあった。正確に言うと顔だけが動かない状態。
その男性はいつの間にか消えていた。
パァパァ〜!
後ろに付いていた車のクラクションで我に戻り、家路を急いだ…。
嫌なモンを見ちまったと思いながら車を駐車場に止めた。
駐車場から家までは歩いて5分程度…。傘をさしてトコトコ歩いていた。
タッタッタッタッタッタッ!
誰かが走って来る…。
近所で朝方にジョギングする人がいて、前にビビった事があったのでそれだと思って気にしなかった…。
タッタッタッタッタッタッ!
俺の横を通り過ぎるその瞬間だった…。
その後ろ姿を見て、思わず腰を抜かしてしまった。
走って来た人は紛れもなくさっき、斎場の前であった男性。
後頭部には大きな縫い目…。それに、甚平姿。
男性は後ろを振り返り、俺を見るとニカッと笑い一言こう言った…。
《さっきは有り難う!意味が解ったから…。》
そう言い残し、再び消えた…。
『…そんな事、いちいち伝えに来なくて良いよ…。』
そう思いながら俺は腰を抜かしたまま、ちょっとの間だけ座り込んでいた。
久しぶりにビビった瞬間だった。
【完】
ON.TIMEで投稿したかったので、お許しを…
あまりにも短い話でごめんなさい。
近いうちに…また!
怖い話投稿:ホラーテラー 元・悪ガキさん
作者怖話