短編2
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招かざる客7 届け物

私「どこのお寺に行くんですか?」

叔「○○町よ」

叔「お寺の詳しい場所はわからない。そのお寺に御縁のある方から、旦那さんが貰ってきたらしい。旦那さんは入院中だからね。なにより内緒でやってるわけだし。」

叔「大丈夫。3人いればわかるわよ。」

夏の19時。車のクーラーは涼しい。

雨は霧雨に変わっているが、いつもの同じ時間に比べれば暗い。

目的地が分からないので町内をさまよう。

しばらくして、Mが呟く。

M「多分、この道であってるよ。」

私「何で?」

M「なんとなく。甘い線香のような匂いがする。」

言われると確かに甘い香りがしている。どこかで嗅いだ香りだ。

雨とクーラーの為に閉めきった車内。

私「キンモクセイの香りだ……」

笑いながら

叔「ね。3人いれば分かるって言ったでしょ?」

匂いに導かれ5分ほど走る。

私「ついた……」

車で走る5分間、キンモクセイの匂いを頼りに辿り着いた。

叔「あんた逹は勘違いをしてる。キンモクセイの咲く季節知ってる?」

叔母様が笑いながら

叔「秋よ。」

―『あんた逹、今日の出来事は忘れていくから安心しなさい』

どのようなお寺だったのか、どんな場所にあったのか、視覚的な記憶は殆ど思い出せない―

叔「あんた逹は車にいなさい。」

叔母様が車のドアを閉めた瞬間だった。

キーーーーーーーン

金属音。耳鳴りだ。耳が痛い。Mも同じ症状のようだ。

コンコンっ

心臓が止まった。

叔母様が窓を叩いている。

叔「あんた逹、水晶玉握っときなさい。」

私「どうかしたんですかっ?」

叔「這っている人。こっちを見てる。性別はわからない。」

性別は何でもいい。

叔母様が帰ってくる10分間の戦い。

車を叩きつける雨音は霧雨の音ではない、車内にはズルズルと擦れる音、揺れる車、耳鳴り、痺れ、睡魔、全身が鳥肌になる、寒い、鏡なんか見れるはずもない、キンモクセイの香り。

突然の静寂。

叔「ただいま。よく頑張ったわね。帰るわよ。」

私はアクセルを踏み込む。

叔「そんなに急がなくても大丈夫よ。相手は這ってるんだから。」

私はアクセルを踏みつけた。

叔「真っ直ぐ帰っちゃダメよ。ついてきちゃうから。来た道で帰ってもダメよ。」

私達は遠回りをし、2時間以上かけて叔母様の家に到着した。

叔「真相聞きたいかい?」

怖い話投稿:ホラーテラー さん  

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