短編2
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神職の一家 (CP) 2

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10年以上前のAさんが20代でまだ神職の資格を取ったばかりの頃の話。

その頃のAさんは今みたいに穏やかでなく、本家の人達をあまりよく思っていなかったらしい。

俺の住んでる辺りは田舎だから、本家と分家の間に封建時代の主従のような絶対的な力関係が

あるのかと思いきやそうではなく、本家と分家の当主同士が気軽に飲みに行くなんていう

普通に仲の良い親戚関係だそうだ。(旧家にありがちな政治権力とも距離を置いている一族

なので、金や権力についてのもめごとが無いのも一因だろうとはAさんの談)

本家の持つ特権は、あくまでも本家が祀る神社の祭祀に限られているとの事。

じゃあなんでその頃のAさんは本家の人達をよく思っていなかったのか?

分家と言うだけで、根拠の無い劣等感があり、若さゆえに反発せずにはいられなかったことも

あるが、Aさん達分家の人達とその本家の人達の間にある差が原因にあったという。

Aさん達分家も本家も、長い歴史を持つ神職の一族(本家に至っては、記録にある部分だけでも

1300年以上続いてる家系。某国風土記の平安期写本にも本家に関連する記載があるらしい)

で、余所から嫁または婿に来た人以外は全員、昔からの巫覡の体質を受け継いでおり、

成り行きこの世のものならざるものが視えるそうだ。

そこで分家と本家の差の話が出てくるんだが、本家の人達は本家が祀る神社の神様からの加護を

受けており、当主と次期当主に至っては、特に強力に護られているらしく、身の回りに霊とか

その他のよくないモノが全く近づけないため、まったく目にしなくなる程だそうだ。

それ故、子供の頃からそういうもの時々に目にしており、苦労して対処を身につけたAさんから

すれば、生まれた家が本家と言うだけで無条件に守られていることに納得がいかなかったらしい。

本家の本家たる所以は、本家が祀る神様との関係にある。本家はある神社(X神社とする)を

管理しており、分家も神社(Y神社とする)を管理する立場にあるが、X神社とY神社とは

別にもう一つ神社(Z神社とする)が存在する。

Z神社は過去に一度失われ大正期に再建されたという歴史があり、そのZ神社こそが

本家が代々祀ってきた神社で、その祭祀を取り仕切る事こそが本家の役割。

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怖い話投稿:ホラーテラー 匿名 ARGENTINAさん  

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