中編4
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想像

「南無妙法蓮華経…」

お盆。

至る所で聞こえてくる。

鼻につく線香の匂い。

耳が痛い。

自然と体が反応してしまう。

肩が重い。

気のせいだ。

8月中旬。

朝6時に出発。

東京から車で3時間。

永遠と続く高速道。

おりた先は一面林だった。

山あいから流れでる湧水。

太陽を反射する湖が眩しい。

富士山がみえる。

昼から飲むビールがうまい。

途中のコンビニで酒を大量にかい、地元スーパーで大量に食料をかった。

富士山近郊の林の中のロッジ。

蚊がうっとうしい。

男5人での社員旅行。

6人乗りのワンボックスをかりた。

荷物をおきまずは観光…。

と言うが見るとこがない。

男5人だ。

ムードもくそもない。

琵琶湖を眺めながらタバコをふかす。

全く予定を決めていない。

一泊二日の骨休め。

行くところはひとつしかない。

青木ヶ原樹海。

時間潰しにボートにのり、その後は富士山周りを車で彷徨く。

林、林、林。

山付近は何もない。

16時。

入口で記念撮影。

懐中電灯、コンパスをもち進む。

薄暗い。

暗いよりも気持ちが悪い。

赤みがかった陽が一帯を赤くそめる。

風に揺れている木々が人に見える。

空き缶、

雑誌、

服、

手帳…

ゴミに思えない。

何かを見つける度に皆押し黙る。

500mで引き返す。

入口が見えている。

「ありえない…」

と心で叫びロッジへ戻る。

当然何もない。

ロッジは三つ。

林に近い一番奥のロッジ

おなごを期待するが俺等以外いないようだ。

至ってシンプルな作り。

玄関には小さな外灯。

足元を照らす程度の灯火だろう。

入口をはいると台所とは呼べない流し。

左側はトイレ。

流しの先には6畳の部屋。

小さなテレビしかない。

上には天井の低いバルコニー。

場所が悪い上に正直5人はきつい。

蚊取り線香をたく。

嫌な匂いだ。

生ぬるい風の中、焚き火をする。

誰もいないことを良いことに20時過ぎまでバーベキューをし酒盛りをした。

一段落し部屋に戻る。

二次会。

罰ゲームつきのダーツ大会。

ものまね、

変顔、

腹踊り。

言っておくが5人だ。

男5人。

盛り上がった。

俺の番までは…。

尻をだし○レヨンしんちゃんの けつだけ星人をする。

しらけた…。

逃げるようにタバコを吸いに外にでる。

皆は楽しそうに酒盛りをしている。

戻りにくいのでタイミングをまつ。

1人がタバコを吸いにきた。

2人で話をする事はあまりない上司。

プライベートな会話が弾んだ。

生ぬるい風がふく中、時折聞こえる音。

上司には聞こえていないようだ。

いや、聞こえない振りをしていたのかもしれない。

「うぅ゛…」

おっさんの声。

「いてぇよ…」

そう聞こえた。

上司はまだ俺に話しかけている。

聞こえていないのだろう。

霊は人がいるところに集まる。

ここは樹海よりも面倒だと今さら気づいた。

時折誰もいないはずのロッジの窓には黒い影が蠢いている様に見える。

が、気にしない。

樹海から耳障はしていた。

けれど知らん顔が一番だ。

特に害はない。

上司との会話をすませ部屋に戻る。

タイミングが悪い。

怪談話をしようと提案しているあほがいる。

酒が入っているため皆興奮している。

一番やってはいけないパターンをかまそうとしている。

布団に入り寝る準備をしだした。

豆電程度の光。

薄暗い明かりが皆の顔を同じに見せる。

完全にやばい。

怪談話をしだした。

諦めて付き合うしかない。

霊は人間がよく見えない。

人間が霊を見えないのと同じだ。

一部の人間を除いては。

見える力をもっているやつは視力が凄く良い奴だと考えてくれ。

霊にはそんな奴はいない。

テレビ、映画などのイメージは違う。

分かりやすく言えば声がする方向に盲目の人間が近づき話かけているだけだ。

実際には音だけではなく気流の流れでも感じている。

それを追いかけいるのか話かける。

害がないやつはそれだけ。

呪縛霊などの場合はその場に縛られているため近寄らなければ良いのだが、近寄れば声がする度に無差別に念を送り込む。

肉体のない彼らのできること。

人間と共通する所。

精神。

心を支配し幻覚、幻聴で肉体を操る。

暗闇の中であれば尚更だ。

霊は自分と同類だと思い近づいてくる。

こんな場所で暗闇の中、怪談話なんてもっての他だ。

案の定耳障りが酷くなっている。

おまけにお経も聞こえてきている。

逃げ道はない。

話の合間に笑い声が聞こえる。

「あはは…」

しかと。

それが2回も3回も続くと嫌でも想像してしまう。

とゆうよりも向こうが想像させているのかもしれない。

女性の声。

髪は長い。

綺麗な黒髪。

貞子をイメージさせる。

顔は見えない。

白い服、白いスカートはきたっている。

これは不味い…。

徐々に同調、支配されている。

お経も極限だ。

冷や汗が垂れる。

口の中に違和感がある。

タバコの吸いすぎか?

飲みすぎか?

いや…、喉の痛みではない。

皆一度は経験があると思う。

いつの間にか口の中にごみが入っている。

舌でそれを確かめる。

嫌な想像をした。

頭が痛い。

蚊取り線香の匂いがきつくなった。

口に指を入れる。

やはり何かある。

舌で押しだし指で摘まんで出す。

長い。

30センチはある。

糸のようなもの。

ありえない…。

部屋が暗い為、色は黒にしか見えないが想像してしまう。

髪の毛だ…。

そこから覚えていない。

翌日の朝、誰よりも早く起きた。

酒が残っている事がわかる程、体がだるい。

顔が浮腫んでいるのもわかる。

タバコを吸いにロッジの外へとでる。

口の中に何かがある感覚はない。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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