中編3
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軽自動車

私が26歳の時、友人と夜遊びして自殺の名所と呼ばれるK県K村の大吊橋に行った時の話です。

肌寒い頃の季節だったと思います。その日は雨が降っていて友人がK村へ行ってみようというので、ハンドルを握っていた私は面倒くさがりながらもその場所に向いました。近づくにつれ、だんだんと深いモヤのような霧が出てきていたのですが、これからの出来事を暗示していたように思います。到着したのは午前1時半頃だったと記憶しています。

到着した私たちの目に飛び込んできたのは大吊橋の両側に2メートル~2メートル50センチくらいの頑丈に作られている塀でした。塀の下の歩道には花束が幾重にも連なっていたのですが、枯れた花束や新しい花束など様々でした。

「気味がワリ-な。」と私が言うと友人が

「おっ、あそこの駐車場空いてる。車、入れようぜ。」

と言うのでゆっくりと駐車場に車を入れたのですが、真夜中の駐車場に車など1台もないだろうと思っていたのですが1台だけ真中に黒の軽自動車がエンジンをかけて止まっていたのです。

私たちはその車の斜め後方の位置に車を止めました。雨が降っていたにも関わらずその軽自動車の車内は薄暗闇でもぼんやりとわかりました。

「いいなあ、カップルでいちゃついてるんだぜ。」と私が言うと

「そうだな、俺達も早く彼女作ろうぜ。」と友人も笑いながら言っていました。しばらく車内で友人と会話しながらふと前方の軽自動車に目をやると何かおかしい事に気付きました。エンジンはかかっているのですが、車内もある程度、中が見えるのに人のいる気配がしません。どう見ても軽自動車には人が乗っていないように見えて不気味に思えてきました。それを友人に話すと

「ああ、俺もおかしいなと思った。」と友人も言ったので見に行くか、ということになり二人で恐る恐る近づきました。

運転席側の方にまわって車内を覗き込むとそこには女の人がシートを後ろに倒して体を横に倒している姿でした。

そして顔を見ると、なんと原形をとどめていないドス黒い血を帯びたグチャグチャの顔面だったのです。

「うわああ!!」

パニックになった私達二人は逃げるように車に飛び乗り、私はすぐさまエンジンをかけたのですが全然かからないのです。

「なにやってんだよっ!!」

「かからない!かからないんだよっ!!!」

そして次の瞬間、ボンネットの上から

「ドン!」という音が聞こえた刹那、

「ベタッ!」とフロントガラスに貼り付く人型の手のあとを見た瞬間、

「うわあああ!やめて!止めてください!!!」と二人して叫びました。そしてどこからともなく頭に響く声が聞こえてきました。それはまるで地の底から響く恨めしいほどの声でした。

「・・・たすけて・・・さびしい・・・」

友人が大声をあげて叫ぶようにいいました。

「成仏してください!!!」と言った時、エンジンがかかったのです。猛スピードでその場を離れた私たちでしたが、帰りの道中、友人が一言も喋らなかったのが府に落ちませんでした・・・

後日談ですが、

帰りの道中、友人は助手席に座っていた時、急に足元を掴まれたそうです。大騒ぎをしたら私がパニックなると思い、家に着くまで我慢をしていたそうですが、翌日、自分の足元を確認したら真っ赤な手形のあとが残っていたそうです。

怖い話投稿:ホラーテラー MYさん  

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