中編3
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肉達磨〈日本〉その三

『…特別にね』

俺は考えた。

俺は今、四肢を切り取られた状態の人間を見て性的興奮を持っているのか?

こうなる事は予想していたし…いや…期待していたの間違いか。

とにかくこれは自分自身、解っていた事だ。

一人で思考を巡らしていると宮田さんが二本目の煙草を吸い始める。そして声をかけてきた

宮田『…田尻君…悩んだって考えたって結局やる事は一つじゃないか…君の考えている通りこれは紛れもない人間だ。

君も噂くらいは知っていただろ?別に現実にあったって何もおかしな事じゃないさ。

君が知らないだけで もっと面白い遊びが世の中には隠れてる。

金のあるやつが金の無いやつを食う時代さ。はは…知った口だね…』

俺『…あの…宮田さんはこの達磨以外にも何か人に言えないような…その…遊びをしているんですか?』

宮田『んー…まぁ僕は金を手に入れてそしてその金で遊ぶだけの生活をしているからね。

色々と遊んでいるよ 君の知らない事を知ってる。

でも俺なんて可愛いもんさ、腐る程の金を持ってるやつってのは常に新しい余興を求め、そしてその余興を楽しむ事だけが生きがいになっていくんだ。』

俺『………。』

宮田『んー…田尻君、はっきり言うけどチャンスは一度きりだ。この機を逃せばもう二度とこんな貴重な体験には出会えないよ。

片足突っ込めばこっち側に来れるんだ。

ダラダラと波の無い刺激の無いつまんない人生より、もっと人間らしく貪欲に、欲しいを満たしてみてはどうかな?』

宮田さんの言葉はいちいち俺の心を突き立てる。

俺は頭がおかしくなったか。

宮田さんは100年も無い短い人生をうまく使っているように思えてきた。

俺は何がしたい?何を見たい?見れるものは全て見ておきたい?

…じゃあ世界中を旅行して色んな文化に触れればいいじゃないか。楽しみは色々あるはずさ。

なにも人の道を外れる事は無い…

………いや、違うだろ?俺が見たいのは人の裏っかわだ。

遊んでるだけなんだ

俺は考える事を放棄し、その達磨で遊んだ。

宮田さんはそんな俺を見て、少し笑うと部屋を出て行く。

俺は気を使って部屋を出てったんだなと悟り、遠慮なく夢中に遊んだ。

その行為において罪悪感などは既に無く、ただただ大人の遊びを楽しむだけだった。

そもそも罪の意識など感じる必要があるのか

人間に今さら何を求める…

俺は汗だくになりながらも一時間程で遊び終える。

達磨は終始、なにも話す事はなくただ目をぱちぱちとさせているだけだった。

服を着てソファーに座り一服しているとドアが開いた 宮田さんだ

宮田『…済んだみたいだね…どうだった?』

俺『………良かったです』

宮田『そっかそっか…まぁまた来なよ。でも次から少しお金取るからね。気持ち分』

外に出ると空はオレンジに染まっていた。

なにかいつもと違う夕暮れだなとぼんやり眺めていると、そこへ一台のタクシーが止まった。

中から男性が一人降りてきた どこかで見た事ある様な気がしたが考えても思い出せそうにないなので気にせず俺は宮田さんとそのタクシーで寮に帰宅した。

後日、その男をテレビにて思い出す事になる。

名前は言えないからアスリートととだけ記しておこう。

俺は達磨で遊んだあの日以来少し鬱になり食事もあまり取らず仕事以外であまり人に関わろうとしなくなった。

おそらく自分を責めているのだと思う。

宮田さんはあれから、達磨を購入してみないかとか 今流行っている遊びがあるから一緒に来ないかとか当然ながら誘ってきたが

やはり小心者の俺にはそっち側に両足を突っ込む事はできず

次第に宮田さんと付き合っていくのが怖くなってきたので期間工を辞め地元に帰った。

あれから何年か経つけど俺は今 分相応の遊びをしている。

しかし、大人の遊びを知ったあの日は俺の記憶に色濃く残り続ける。

そしてまた欲しがってしまうのかもしれない。

怖い話投稿:ホラーテラー 田尻さん  

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