短編2
  • 表示切替
  • 使い方

前世?

私が小学3年生の頃の話です。

怖くないです。

私の部屋には大きな窓と小さな窓、2つの窓がありその小窓の方にベットを置き寝ています。

この小窓の向うは山になっていて春は桜が咲き乱れ秋は柿がなる綺麗な山なのですが、この家に引越しをしてすぐに奇妙な体験をしました。

昼間、天気が良かったので小窓のレースのカーテンを開けた時に、金髪で青いワンピースを来た女の子が悲しそうに私を見ていた事がありました。

その子は宙に浮いていて明らかに人では無いのですが、当時の私は全く恐怖心を抱く事がなく「そういうものなんだ」程度の認識でしばらくその子を見ていたのを覚えています。

その子を見てから数日後私は奇妙な夢を見た。

その日は枕に足をのせて北枕で寝てしまったと記憶しています。

小窓から見た金髪の女の子は私。私はその子になっていてカゴで編んだバスケットを持ち家を出ます。

私は何処か外国の山の中に母と妹と慎ましく暮らしており、この時は母に頼まれて何か赤い実を収穫しに畑に来ている所でした。

鼻歌交じりに赤い実を摘んでいると森の奥から男と女の言い争う声が聞こえて来ます。

私は作業の手を停めてその声のする方向へと歩いて行く。木々の間に身を潜め男と女の会話に耳をそばだてます。

男と女は物凄く焦っていました。男が誰かを殺したと言っています。女が喚く。あいつが悪いから、と。

私は見ては行けないものを見てしまったと思い来た道を引き返そうとしました。が、お決まりの様に音を立ててしまい男に見つかってしまいました。

その男は「1人も2人も変わらねえ」と言いながら手に鈍器を持ち私の方へと近づいて来ました。

慌てて逃げる私。

走って走って走って。

気が付いたら見た事が無い場所まで来てしまっている。後ろには男が迫っている。

怖い。

殺される。

必死に走って居ると突然私の意識は途切れました。

気が付いた時には私の身体は森の中の小さな湖の中に沈んで行く所でした。

仰向けになり、目を見開き、沈んで行く。水の中に体は確かに沈んで行くのに私の意識は体を離れ天へと登って行く。

幽体離脱している感じと言えば良いのでしょうか。くるくると回りながら沈んで行く私を見る私。

その沈んでいく身体が見えなくなった瞬間ハッと目が覚めました。

夢の中で感じた怖いという感情は起きても消える事はなくしばらくの間私は布団から出る事が出来ませんでした。

あれから10数年以上経過していますが同じ夢を見る事はありません。ただの夢と言えばそれまでなのですが、まるで前世を見た様で不思議な体験でした。

怖い話投稿:ホラーテラー こころさん  

Concrete
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ