中編3
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俺ンちの母ちゃん

 俺的には不思議で、ある意味怖かった話です。それは母の事なのですが…

(以下、母=母ちゃんで)

 俺の母ちゃんは、普段はお笑い番組を観てはよく笑い、感動番組を観ては鼻をかみながら『ええ話や…』と泣く感激屋の普通のおばちゃんです。

 あれは俺が中学生の時の話です。

 その日、父ちゃんは仕事関係の飲み会で遅くなるということで、俺は母ちゃんと妹の三人で晩飯を食った後、風呂も済み二階の自分の部屋でダラダラとマンガを読んでいました。

 妹は寝たようで家の中は静かでした。

 喉が渇き、台所へ降りていくと母ちゃんが後片付けをしていて『明日が休みじゃゆうて、遅うまで起きとっちゃいけんよ。』と言われました。

…時計を見ると12時。

『わかっとる!もう寝るけん。』と、俺が自分の部屋に戻ろうとした時…

突然、『いけん!今部屋に戻ったらいけん!ここにおりんさい!』と母ちゃん。

『なんなん?今、早よう寝ろって…』俺が言い返そうとして見た母ちゃんの顔は今まて見たことがない顔でした…

ガチャガチャ…

玄関の鍵が開く音。

 台所の塩が入った容器を持った母ちゃんが真剣な顔つきで素早く玄関に向いました。

『ただいま〜』と、父ちゃんの声がするや、

『入るな!止まれぃ!!』と母ちゃんの大音声…

その声は壁が振動するのではないかと思われる程で俺は驚きました。

 父ちゃんは玄関の扉から体半分を入れた状態のままフリーズ…その父ちゃんにバラバラと塩が…撒いているのは母ちゃんです。

 俺は思わず母ちゃんに駆け寄り「何しおるな?!」と言いかけましたが、母ちゃんからただならぬモノ感じて言えませんでした…塩を撒いている母ちゃんの視線は父ちゃんではなくその後ろに注がれています。

いつの間にか妹も来ていました。妹の目は大きく見開かれ母ちゃんと同じ所を見ています…

 一体、何が起こってるんだ?…俺にはわからなかった。その時妹が『兄ちゃん、こっちにきて。早く!』と俺を呼んだ。言われるがまま、妹の側へ…  やがて母ちゃんは父ちゃんに手振りで中に入るように伝えた。しかし視線は動いていない。

 家へ上がった父ちゃんは無言で風呂場に向かう。 母ちゃんは動かずそのまま玄関の扉に向かって立っている。

『あっ!!』俺は思わず声を上げてしまった。 玄関の扉が開いたままなのだ…ウチの扉は手を放せば自然に閉まる仕組みになっているのに、誰も押さえていないのに30センチ程開いていた。  母ちゃんは、そこを睨み付けている。

カタ…、カタカタカタ… 玄関の棚の上の置物が揺れている

 母ちゃんの髪の毛が盛り上がった様に見えた… スゥ- ハァ- スゥ- 母ちゃんの深い呼吸の音が響く…

『か、母ちゃん?!』 思わず呼びかける俺。

『きっともう少しじゃけ、邪魔しちゃいけん!』

俺を制する妹…

          玄関の扉も微かに動き始めた…その時、      チリン…リンチリン…チリンチリン♪ 玄関の扉に下げているドアチャイムが鳴った…均衡が崩れた

 その瞬間、

『念〇〇〇力ぃ!立ち去れぃ!!』と母ちゃんの大音声。

 バタン!!

玄関の扉が閉まった―

『これでエエじゃろ…ふぅ。後は明日の朝じゃね。』と言って振り返った母ちゃんはいつもの母ちゃんに戻ってました。

『なぁ、何があったん?』俺は母ちゃんに聞きました。すると母ちゃん『ええんよ。何でもないけぇ…。さぁ寝んちゃい。』と言ったのです。

側にいた妹に『えーっ!兄ちゃん、アレ見えんかったん?』と言われ、少しムッした俺が『アレってなんね?なんも見えんよ!』と言い返していたら、

『見えん人には見えんでええモノなんよ。気にしんちゃんな。』と母ちゃんが言ってくれたのですが… 『〇〇(俺)がもう少し大きくなったら、ちゃんと教えるけぇ。安心しんちゃい。』と笑う母ちゃんに数年後俺は母ちゃんのソノ特技?の事、経緯を教えて貰うのですが、それはまた機会に書かせていただきたいと思ってます。

怖い話投稿:ホラーテラー B級グルメさん

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