中編4
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首だけのおっさん」

あれは大学2年の時だっただろうか。

俺らは友人5人でよく心霊スポットに行っていた。

当日の17時ごろに誰からでもなく連絡が来て、今日はどこに行こうか。

ネットでここの場所曰くつきらしいよ。行ってみようぜ!!みたいなノリで…

広島を拠点にし、県内・山口・時には四国まで1泊2日の心霊スポット巡りまでしてたほどだ。その中の鳥取・島根に遠征をしたときのお話。

いつものように5人が集まり、近くのデニーズへ。

各々ネットで調べた本当とも嘘ともつかないような情報を持ち寄り、ある程度の行き先を決める。そして18時に出発。

本題の前になぜここまでして心霊スポットに行っていたか。

若気の至りもあるが、友人のBが霊とか「その他の者」が見える通称“見えるやつ”。

そのBの指示に従っていれば、仮に霊が襲ってきそうなヤバそうな時には危険を回避することを教えてくれる。

「おい!それ以上いくな!」

「逃げろーーーーー!!!」

「あそこにいるから目は合わすなよ」

そして簡単なお払いもできる。肩を2度ずつ払って、背中をバンバン叩く方法。

それでこれまで何度も危険な状況から脱してきた…ハズだ。

とりあえず西日本最恐と言われる「7つの家」、四国の三瓶にある名前は忘れたが旧街道沿いに100体位地蔵があるトンネル、高知桂浜にある廃ラブホテル(リバティーだっけか?)などその他たくさんの心霊スポットに行っていた。

本題に戻って、その日は広島から島根・鳥取まで下道で行き、廃ラブホテル・一家惨殺が噂されている廃墟。外人が殺人を起こしたとネットに書いてあった廃アパートなど、一日で4か所くらい回っていた。途中廃墟内で5匹くらいの猫の死骸があたくらいで、特に怖いものはなかった。そして鳥取県の米子あたりで休憩。

「全然ネットで言う“最恐”も大したことねぇなー」と言いながら近くのローソンへ。

ちょっと肌寒いのもあり、おでんを食べながら駐車場で次どこに行こうかと相談していた。

すると地元のヤンキーが絡んでくる。

最初は県外から来たってのもあり、よそ者に喧嘩を売るような話し方だったが、わざわざ遠くまで心霊スポットを訪れに来たことを話し、なぜかそこで意気投合し、地元で有名な心霊スポットを教えてくれる。 

その場所は“粟島神社”。

確か米子にあったと思うけど、地元の人でも夜は近付かない心霊スポット。

なんでも人魚の肉を食べて800歳まで生きた“八百比丘尼”を祭る神社で、神社横の“静の岩屋?だっけか”という小さい洞窟に夜行くと引き込まれて帰ってこれないという曰くつきの場所。

じゃあそこに行こうとそのヤンキーも一緒に15人くらいで、粟島神社へ出発。

着くとそこは真っ暗で街頭もあまりなく、独特の雰囲気を醸し出している。

良く言うと閑静。悪く言うと暗闇に引き込まれそうな静寂をたたえている。

一同はすぐ曰くつきの「静の岩屋」へ。

案内板があり、どうやらそこが岩屋らしい。

案外小さく、柵にかこってある小さな洞穴?がそこにはあった。

お決まりの注連縄。

もうあと10メートルほどでその岩屋に着くとなった時、Bがふいに「待て!!それ以上行くな!」と叫ぶ。

それまではワイワイしながら歩いてた俺たちに一瞬の静寂が…

Bは続ける。

「お前らの上、5メートルのところの木の茂みから凄い形相の首だけのおっさんがこっちを見よるけん、絶対にそこは見んなよ!」

え…

八百比丘尼じゃないの???

良くわからんが、どうやらタチの悪い霊がそこにはいるらしい。

後で聞いてみたんだが、透明で、髪の毛は禿げてて、目は空洞。口から血を流してて、なんか顔の皮か解らないがベロンベロンの肌だったといことだ。

とにかく俺たちは一目散でダッシュで車まで戻る。

日ごろつっぱってるヤンキーたちもビビって我先に逃げだす始末。

とりあえず明るい所に行こうということになり、最初のコンビニへ戻る。

そこでBが自身が見えた“おっさん”の特徴を話す。

「えっ????」

ヤンキーの中の一人がその特徴を聞き青ざめる。

「それって一年前自殺した友達の父ちゃんじゃ??」

どうやらそいつの友達の父ちゃんがその神社の階段を上がったところの境内の横の木で首つり自殺をしたらしい。

動機は分かんないが、発見が遅くなったため通常の身長の1.5倍くらいに体が伸びてたらしい。

また長い間首をつったままとなっていたため、腐敗もあり、首の筋肉がところどころちぎれて首が取れそうになってたらしい。

それを聞き、一同唖然・・・・

夜も明けてきたため、現地ヤンキーくんたちとはそこで解散。

帰りはなにも起こったり、俺自身何も起こらなかったがなんとも後味の悪い旅行だった。

読んでもらいありがとうございます。

駄文失礼。

怖い話投稿:ホラーテラー ペリエさん  

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