中編3
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老眼

3世帯同居の6人家族。

俺は中2男子、カニが好き。

で、じいちゃんが 俺だけのために 大きなカニを一匹 買ってきてくれた。

すっげ嬉しそうに 「ええから 食え食え」と差し出してくれた。

母ちゃんが 「大きいから、20分も茹でたのよ」

と言っていた。

俺は、大好きなカニを 興奮気味で、手に持ち、まずは 甲羅をパカッ!と開いて

…次の瞬間、母ちゃんが

「ウッ!」

俺は心の中で「ゲッ!」

なんと、甲羅をはいだ カニの体全体に びっしりと 白いゴマのような虫が何万匹、ところ狭しと ウジャウジャ わいていた。

母ちゃんは「20分も茹でた」と言っていたが、虫たちは生きていた。

俺と母ちゃんが、ワナワナしてると

「どうした、遠慮せんと食えっ♪」

と、上機嫌のじいちゃん…。

老眼のじいちゃんには、目の前の 虫の大群が見えないらしい。

ほんとに嬉しそうに こっちを見るもんだから、歳より想いの俺としては

「こんなウジ虫だらけのモン、食えるかあっ!」なんて言えないし、グロイ物に対しして 超ビビリの母ちゃんは、白目寸前だった。

そこへ、父ちゃんが帰ってきた。

「助け舟!父ちゃん、このカニ 見て!」と思ったが…

父ちゃんも 老眼だった…。

「カニじゃないか!」とカニを手にとって 上機嫌。

「駄目じゃ!そのカニは 孫に買って来たんじゃっ!」と、じいちゃん。

ええっ!やっぱ俺なの~?

この時の 俺の冷汗は 尋常ではなかったが、うまく 母ちゃんが

「お父さん、そのまま ちょっと…」と、父ちゃんに カニを持たせたまま 台所へおびき寄せた。

「いいぞ!カニ自体は 何ともなさそうだから、せめて、その虫たちを 洗い流してくれ!」と、心から願った。

この間、じいちゃんには 大好きな「一休さん」を見せて、気をそらせた。

台所で「どうした?」と、カニを持ったままの父に、母が説明したら

「なんだ、じゃあ 洗い流したら いいんじゃないか」と、洗ってくれた。

先に母が台所から戻って、

「だいじょうぶよ、お父さんが 洗ってくれるから」と小声で言った。

「やったー!」

これでやっと安心して食べられる。

「一休さん」を解除し、戻ってきたカニを見ると…

人口密度が 全く変わってなかった。

父は本当に サーッと 水を当てただけ みたいだった。

再び 俺と母は 顔面蒼白になった。

「さあ、食えよ~♪」

…じいちゃんたら…

じいちゃんの好意を 無にするわけにいかない…

もはやこれまで…

「ただいま~♪」

そこへ、ばあちゃんが 法事から帰ってきた。

せわしない ばあちゃんは ドスドスと 食卓にやってくるや否や

「あら、カニじゃない! いただきます!」

「あっ」という間もなく、ばあちゃんは ソレを…

バキバキバキ!

くちゃくちゃくちゃっ…ベキッ!ジュズズズズ…

俺と母は近眼だが、あとの3人は老眼。

老眼というのは 無敵なのか??!!

一瞬の 出来事だった。

じいちゃんは あまりの 事の早さに ア然とし、母は もう白目だった…。

怖い話投稿:ホラーテラー ろくさん  

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