短編2
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夫婦

数年前に亡くなった、ある翻訳家についての逸話。

彼は20代半ばに結婚して40年以上付き添った奥さんがいました。

結婚当初は、とても仲むつまじい夫婦だったそうです。

ところが、結婚30年目の頃に奥さんが統合失調症を発症。徐々に悪化してきました。

夜、トイレに行こうとすると、奥さんが虚ろな目で暗い廊下をゆっくり歩き回ってたり、

ふと気配を感じて起きると、奥さんが顔を無表情で覗き込んでいたりしたそうです。

ある時なんか、薄暗い書斎で恐い話の翻訳をしていて、ふと振り向くと

奥さんが部屋のドア口に立って、放心状態で旦那さんをずっと睨み付けていたり…。

それでも旦那さんはずっと奥さんの事を愛していて、極力入院はさせず

お医者さんの助言を聞きながら自宅で見守っていたということです。

正直言って、結婚経験ない私には、いくら身内とはいえ

まともな精神状態無くしてる人が暗闇に突っ立っていたりしたら

かなり精神的にきつい状況なんですが、旦那さんはよくやっていけたなあと思います。

子供には恵まれなかったそうなので、同じ屋根の下で二人きりだったのだろうし、

突然あばれたり、奇声挙げたりとかじゃなくて、ひたすら無言だったという話なので

家に居る時間、ひたすら沈黙が続いていたのだと思います。

今、その奥さんは旦那に先立たれた後に、どこでどうしているのかは不明ですが、

旦那さんがどこかで見守ってあげているんでしょうね。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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統合失調症=怖い
という、安直な解釈は
やめた方が良い。
身内には身内にしか理解し得ない覚悟というものを背負い、病気や障がいと向き合っているのです。