短編1
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帰り道の思いで

私が高校生の時の話です。

私の通学路にある母子家庭の親子が住んでいました。

母親は近所でも評判のいい人で、いつも誰かと話している明るい人でした。

ですが、そこの家の小学生の娘はあまり誰とも話をせず、学校でも影が薄かったようです。

ある日の帰り道、その親子の家の前を通ると、何故か窓越しに娘さんが私に向けて手を振っています。

特に知り合いという訳でもなかったのですが「元気がない」と言われていた子から、手を振られたのがどこかうれしく、それ以来私が帰宅する時にはいつも手を振り合う関係になりました。

ところが、ある日、いつものようにその家の前を通りかかると、窓に人影がありません。

気になって、初めて家のすぐ近くまで行ってみると、どうやら引っ越しした様子で家中の家具がありませんでした。

なんだ。残念だな。せっかく仲良くなれたのに。

そう思ってあの子がいつも手を振っていた窓をよく見ると、窓の下のホコリがかかった目立たない場所に、指でこう書かれているのを見つけたのです。

ママから たすけて

今でも何故、気がついてあげられなかったのかと残念です。

幽霊とは違いますが、人間が一番怖いと思った出来事でした。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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