中編4
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主人の留守中の出来事

本家が営んでいた古い貸家に私と主人で住んでいました。

主人が出張でいないある晩の事。お風呂に入り鼻唄を歌いながら身体を洗っていると、スーッと冷たい空気が背中に流れてきました。

鏡に越しに後ろを見るがドアは閉まっている。

そして壁の上部にある窓を見ると髪の長い女が私を見下ろしていたので悲鳴を上げて、裸のまま居間まで走って逃げた。

すると直後にピン…ポ…ンと途切れ途切れの玄関のチャイムが鳴りだしたので、私は裸のまま布団に潜り込み目を閉じガタガタ震えていると…

カラカラカラカラっと居間の窓を開ける音がする。泥棒???

逃げたいけど身体が動かない。居間と寝室の二つしかない部屋で下手に動く事も怖くて出来ず息を殺していると何者かが室内に侵入し私に近付いてきた。

…殺される…

そう思った瞬間、勢い良く布団が剥がされた。

『…○○さん…はっ…ごめん…大丈夫?一体どうしたの?』

声をかけてきたのは隣の本家住む主人の兄でした。

私の悲鳴を聞き付け慌ててここに来てくれたとの事。私は裸でうずくまっていましたが知っている顔を見て安心しそのままの姿で義兄に抱き付き泣きじゃくりました。

そんな私に義兄は紳士的な対応で私の身体をシーツで隠し優しく抱きしめ私をなだめた後に家の周りや中を隈なく見回ってくれました。

結局何の痕跡もなかったが女性一人では物騒だからと言い、その日は私達の家で寝てくれる事になりました。ちなみに義兄は独身です。

出張の多い主人だったので隣に住む義兄はとても心強い存在でした。

弟の嫁として私をとても大切にして可愛がってくれていた事も本当に嬉しく思っていましたしとても信頼していました。

事件から数ヶ月後に、再び主人が出張でいない日がありましたが、主人から義兄に私の様子を見に来るよう、また居間に泊まってもらうよう事前にお願いしてくれていました。

夜になり義兄から電話で仕事で帰りが遅くなるから食事も風呂も先に済ませ寝ているよう言われました。

本家には主人の鍵を預けていたのでそれで空けて居間で寝るから安心してと。

あの時以来、風呂の窓に鍵もかけていたので外から誰かに開けられ覗かれる事もありませんでしたがやはりトラウマになったのか不安になりました。でも今日は義兄が来てくれるし大丈夫だろう。心なしか安心し、ゆっくりお風呂を満喫していました。

長く浸かり過ぎてのぼせてしまった私は窓の鍵を外し窓を開けると、そこには以前見た髪の長い女の顔がありました。

『ひぃっっっ!!!』

私は前回のような悲鳴はあげませんでした。

なぜなら彼女が声を上げたのです。

突然開いた窓から私の顔が見え驚いたようでした。

『貴女一体なんなんですか!いい加減にしなさいよ!!!警察に突き出してやる』

私は強い口調で怒鳴り、タオルを巻いて急いで風呂の外側に向け駆け出しましたが到着した時には女が逃げて行く後ろ姿が見えるだけでした。私は相手が女性ということもあったので更に追いかけました。すると本家の庭に逃げていくのが見えました。本家は高台になっている上に高い塀があるので容易に逃げる事は出来ないと確信した私は急いで自宅に戻り本家に電話をしました。

私は服に着替え再び本家の庭に行くと、義父と義母が何やら騒いでいました。

犯人には逃げられたみたいでしたが犯人が落とした物があると。見せられたのは、ロングヘアーのかつらでした。

『○○さん、あれは女じゃなくて男だよ。警察に連絡しよう。』

そういって義父は家に戻っていきました。

義母『こんな時に▲▲(義兄の名前)は一体なにしてるのかしら…呼んだんだけどまだ来ないのよ。』

私『義母さん。▲▲さんは今日は仕事で帰りが遅いと連絡がありましたよ。』

義母『えっ!?▲▲ならとっくに帰ってるわよ。じゃああなたの家に行ったんじゃないの?』

私『えっ…!?…うちにはまだ…』

するとそこに義兄がパジャマ姿で現れた。

義母『あんたどこにいたの?それよりどこから来たの?裸足じゃないの。』

義兄は騒ぎを聞き付けていち早く現場に駆け付け犯人を追いかけていたそうだ。しかし、もう少しの所だったが女性である事もあり無理に追うのを辞めてしまった。

そして、自分達の敷地内で起きた事だし、貸家には他の住人がいるから騒ぎにするのは本家の面子に関わると言い、義父が警察に連絡するのを止めたそうでした。

義父も義母も義兄の活躍に一安心していたようでしたが、両親の肩を叩きながら本家に戻る義兄の首元には長い髪の毛が大量にたなびいていた。

その後すぐに私達夫婦は主人の浮気が原因で離婚しました。

覗きの犯人を知っているのは私だけでした。

最後まで義兄に犯人を知っていると言う事もなくその土地をあとにしました。

ホラーじゃなくてすみません。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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