短編2
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猫の王様

友達(以下A)の家に行ったら、いつも愛想よく出迎えてくれる猫(以下仮名で『トラ』)がいませんでした。

「トラやん、どうしたの?」と聞いたら「猫の王様になったみたい」と、Aは寂しそうに言いました。

以下はAから聞いた話です。自分で経験したわけじゃないので、分かりにくいかもしれませんが…ご了承の上、お付き合い下さいませ。

ある日、Aは夢を見たそうです。

二足歩行の猫達がA宅の玄関前まで着て、Aはなぜか自宅のポスト前に立っていました(※A宅は山のふもとにあり、門や塀みたいなものはありません。『田舎のおばあちゃ

んの家』みたいな感じとイメージしてもらえれば解りやすいかと思います)。

「何で猫が二本足で歩いてるの?」とAが思ったとき、先頭を歩いていた猫が「〇〇〇〇〇〇トラ〇〇様(※〇〇の部分は覚えてないとのこと)のお宅か?」と聞いてきたそうです。

Aが不思議に思いつつも「そうです」と答えると、その猫は「□□□□□□□□□□がお亡くなりになりましたので、〇〇〇〇〇〇トラ〇〇様に次の王をお願いしに参った。〇〇〇〇〇〇トラ〇〇様にお伝え願う」みたいなことを言い、猫達は再び二足歩行で歩き去って行ったそうです。

そこで目が覚めたらしく、時計を見ると深夜1時くらい(このあたりの記憶は曖昧)、いつも枕元で丸まって寝ているトラに「二本足で歩いてる猫が、お前に次の王様をお願いしますって言ってたよ」と呟いたらトラも目を覚ましたらしく、起きてきてやたらとAに甘える仕草をし始めたんだそうです。

耳にトラの頭がコツンッと当たったときに「もう行かなきゃ…もう会えないけど、大好きだよ、A…」と、なんとなくニャモニャモ口調で聞こえたらしく、急に意識が遠くなり、Aが再び目を覚ましたら早朝。

枕元に丸まっているはずのトラはいなくなっていて、トラにつけていた首輪が置いてあったそうです。

それ以来、トラは帰ってきてないそうです。

ネットや図書館などで調べてみると、世界中で『猫の国』という伝説があるらしく、上記のような話が世界各国に伝わっていて、だいたいは「ワタシが王に選ばれた!」と猫が人間の言葉で叫んで家を出ていき、二度と戻ってこないそうです。

要するに、トラは『猫の王様』になったそうです。

Aは寂しそうでしたが「

でもトラ、王様になったんだよ?それに、夢かもしれないけど『大好き』って言ってもらえたんだし…トラには頑張ってもらわなきゃね」と、笑っていました。

本当にトラが王様になったかは判りませんが、ちょっとした小話として投稿させていただきました。

お付き合い、ありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 大佐さん  

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