短編2
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地下鉄のホーム

いつも使う駅の地下鉄のホームで、いつも同じ時間帯に電車に乗る男がいる。そいつは電車が来るまではなにをするわけでもなく、いつもじっと暗い真下の線路を覗き込んでいる。

会社帰りのある日のホーム、終電近くで周りに人気はない。するとそこにはいつも朝の電車で会うはずのそいつがいた。そいつは相変わらず線路を覗き込んでいる。

と思ったらスッと線路の中へ消えて行きその上を電車が通過して行った。

俺は驚いて腰を抜かした。目の前で起こったことが認識出来なかった。駅員や警官が来ても暫くは何も話すことが出来ず、落ち着きを取り戻したころにやっと事情を説明することが出来た。

あいつは自殺だったと。自分以外の人間は周りにいなかったし、自分も何もしていないということは防犯カメラで証明された。

でも違う。たしかにあいつは落ちる時は一人だった。落ちる時は。

俺は見た。下にいたんだ。

あいつが落ちる時、下から引っ張っているモノがいた。絶対にヒトじゃあない。ソレは二つの手と髪の長い真っ白な女の頭しか無かった。しかも上顎から下がない。そいつがケタケタケタケタケタと笑ながらあいつを引き込んでいた。

誰かに話しても信じてもらえる話じゃあない。信じてもらおうとも思わない。

ただ気になるのは事故直後、電車が完全に通過したあと、ソレが線路から鼻の上までをのぞかせてこちらを覗き、ニタァという笑みとケタケタと短い笑いを残していったことだ。

電車が来る。

ソレがいないか、じっと暗い線路を覗き込んだまま、電車に乗り込む。

今回はいない。

次はわからない。

怖い話投稿:ホラーテラー Osh0wさん  

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