短編2
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虫の知らせ

初投稿です。以前に比べ投稿が少ない気がしたので、大した体験ではないですが、投稿してみました。誤字・脱字あったらお許しください。

これは、父方の本家を継いだ父の兄である叔父の話。

叔父は昔からイタズラが好きで、私が遊びに行くといつも廊下を真っ暗にして、般若のお面をかぶり奇声を発してお出迎えしてくれます。当時はそれが怖くて、泣きそうになってました。

怖がらせて満足すると、満面の笑みで私を中に入れる。とまぁ、何とも憎めないお茶目?な叔父。汗

そんな叔父が肝臓ガンに侵され闘病生活が始まった。当時(20年ほど前)の新薬などを使ってみても、全く良くならず、日に日に弱っていく叔父。

発見した時にはもう手遅れだったのでしょう。

時は経ち、その日は大晦日。遂に叔父は危篤状態になりました。まだ小さかった叔父の息子3人は、父が家に呼んでみんなで美味しいご飯を食べて年を越そう。と提案し、私の家族と3人の合計9人でご馳走を食べてました。

みんなで美味しいご飯を食べながら、紅白を見ていたときです。突如、神棚に供えていた鏡餅に乗せていたみかんが、2mほど下の床に落ちてきました。

一同:「…………。」今までそんなことなかったし、鏡餅は大きいのを用意していたので落ちる訳がない…。

一瞬全員が黙ったままだったのですが、

父:「お姉ぇ、受験失敗するんじゃない?笑」

と、当時受験を控えていた姉に冗談を言って、一同爆笑。それで和み、食事を再開しました。

みかんは鏡餅の上にきちんともどしました。その十数分後のことです。

今度は反対の鏡餅の上に乗せていたみかんが床に落ちました。さすがに、また冗談を言う空気にならず、まぁこういう事もあると言う事で終わらせました。でも何か変な感じを皆が持っていたと思います。

さらにその十数分後、一本の電話が入りました。相手は叔父の妻である叔母からでした。

叔母:「ついさっきお父さん息を引き取ったよ。子ども達を連れてきて欲しい…」

まさに、みかんが落ちたその頃、叔父はベッドの上で静かに息を引き取ったんです。

一同しばし無言のまま。しかし直ぐに父が叔父の息子達に支度をさせ、車に乗せて病院へと向かいました。

葬式も無事に終わり、親族だけでご飯を食べながら叔父の話をしていたとき、みかんの話になりました。

父:「兄貴はイタズラ大好きだったから、みんなを驚かしながら、最後のお別れに来てくれたんだろうな。」

と、少し微笑みながら、でもどこか悲しげに語りました。

私達もそう思いましたし、今でもそう思っています。

早すぎる死に周りをあまり悲しませたくなかった叔父なりの虫の知らせなのかもしれません。お茶目な叔父でしたから…

以上です。怖い話ではないのですが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー よしまるさん  

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