中編4
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雨の日 怖い話

これも中学の頃の話。

学校の放課後、帰宅部のやつらで集まって怖い話をしていた。

外は雨のせいで薄暗く、電気の消えた教室は、外から僅かに入る光と雨の日特有の湿気た嫌な空気で、怖い話をするのにもってこいな環境が整っていた。外でやる部活も、その日は雨のせいで校内を走っていて、怖い話の合間にその声が微かに教室まで届いていた。

「なぁ、この話知ってる?」

家にカメラを仕掛け、女が入ってくるところでビデオが切れる話、隣に住んでいたのは赤い眼をした女の人だった、とか「夢とちがうじゃねぇか」とか、有名どころの怖い話は話しつくした。

みんな、どこかで聞いたような怖い話をして、かれこれ一時間ほどたった時だった。ドアがガラガラと音を立てて開かれた。

「なになに、皆あつまって何話してんのよ〜?」」

面倒くさい奴が来た、と思った。そいつは、なんていうか中二病の塊みたいなやつで、いつもみんなの前でわざとらしく大きなため息をついたり、「お前らは楽でいいよな・・。あぁ、マジで疲れるわ〜。」とか言ってくるので、俺たちが「どうした?なんかあったのか?」と渋々聞いてやっても、「いや、言っても多分信じねぇし、お前らにはわかんねぇよ・・・。いいよなぁ、普通の人は。」とかぬかしてくるので、皆から少しウザがられてた奴だった。(以下、そいつをウザとする)

俺「いや、怖い話をちょっと皆で話してたんだよ・・・。」

ウザ「マジで?あぁ〜やっぱり・・・。だからこの教室が黒いオーラを放ってたのか。」

ウザがわざとらしく大きなため息をついた。

ウザ「あんまり怖い話とかしないほうがいいぜ・・・、よってきちまうよ?」

最初に怖い話をしていたメンバーのうちの一人、Kが

「よってきちまうって・・何が?」と聞くとウザは両手を上に向けて、まったく、といったポーズでまた大きなため息をつき、真剣な顔をして言った。

ウザ「俺、みんなに黙ってたんだけど言うわ・・・。実は俺、霊が見えるんだよ・・。嘘だと思ってるだろ・・まぁしょうがないよな・・見えない奴には・・はぁ。でもこの教室にもすでに霊が四体もいるぜ?」

ウザが言った後、最初に怖い話をしていたメンバーのうちのもう一人、Sが

「うわぁ・・・」

とすごい顔でつぶやいた。俺がそれを見て笑いそうになると、Sがなぜか俺に真顔でピースサインをしてきた。なぜ今ピースサイン?w

すると、Kが「じゃあさ、あの廃墟の家の霊も見えたりすんの?」とウザに聞いた。

廃墟の家とは、学校近くにあるここらへんじゃ有名な心霊スポットで、その家で自殺した女の霊が夜になると見えるとかで、話題になっていたスポットだったのだが、ウザが「当たり前だろ。恨めしそうな女がこっちを見てるんだよ・・あそこはいるよ」と言うと、Kが「じゃあさ、今から見にいかね?俺見たことなくてさ!ウザがどこにいるか教えてくれれば見えるかもしんねぇし。」と目を輝かせながら言った。

ウザは少し戸惑いながら、「お、おう、じゃあ行くか?」とか言って、その廃墟に行くことになった。いつの間にか雨は止んで、それでもまだ厚い雲が空を覆っていた。

その廃墟の家に向かう道でも、ウザは、いきなり立ち止まって、「うわ、あそこに男の霊がいるぜ」とか、「あそこには腕のない女の霊がいる」とかいちいちうるさかった。ウザが何か言うたびに、Kは、へぇ〜、とか、ほ〜、とか言って、Sはウザが何か言うたびにイライラしているような様子だった。

廃墟の家に着き、家に入ろうとした時だった。

ウザがいきなり「まて!玄関のほうから女がこっちを見てる・・・これ以上入らないほうがいい・・・」なんて言ってきた。

Kは「どこだよ?なんも見えねぇチクショウ!見てぇ!」といって目を細めたりして、俺もちょっと注意深く見てみたけどなんも見えなかった。「なんもいないよ」とおれが言うとウザは、「まぁ、普通の人はいいよな、見えないほうが絶対いいから、疲れるしさー!ははっ!」とかうれしそうにつぶやいた。

そしてそろそろ家に帰ることになった。Kとウザは帰り道が反対方向だったのでそのまま別れ、俺はSと一緒に歩いていて、ふと、教室でSが真顔でピースサインをしてきたのを思い出し、Sに聞いてみた。するとSは淡々とした口調で言った。

「あの時、教室にいたのは、四体じゃなくて二体。だから。」

といってピースサインをしてきた。俺はなにがなにやらわからないでいると、Sは続けた。

「あいつ、いつもあんな風にしてるんだろうな。見えないくせに。そりゃ霊からしたらウザいだろうよ。あの家に行くまでに三体も霊に憑かれやがった。それでもあの家について、あいつに憑いてた小さいのは全部逃げてったよ。あの家にいた奴がウザに憑いたからだ。他の霊も逃げ出すくらいのおっきい奴がな。これ、あいつらと別れるときに後ろから写メったんだけどさ。」

とSのケータイを差し出してきた。

「実は、ウザが玄関のほうから女がこっちを見てる、っていった時、ほんとに女がいたんだよ。偶然だろうがな。だけど女のほうは、自分が見える奴がいるって思ったんだろうな」

俺はSのケータイをみて唖然とした。

Kと並んで歩くウザの背中に、白い服の女がおんぶされたように乗っていた。

女は頭だけをケータイのカメラに向け、満面の笑みで写っていた。

中二病ってマジで怖い。なったとしても霊が見える、なんて嘘は絶対つかない。

俺はそう思った。

怖い話投稿:ホラーテラー Mr.レインさん  

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