中編3
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祖先の戒め

あれは高校二年生の夏休みでした。部活の合宿で〇県の宿舎へ行くことになりました。

到着し、夕刻まで汗を流し夕飯を食べて寝室へ。寝室は、僕を含め、同級の7名でした。

部屋は寝台車の用に扉を開けてすぐに二段ベッドが左右に分かれて2つづつ壁に固定されていました。僕は左奥の二段を陣取りました。

翌日は朝練が待っていましたが、仲間がこれだけ集まって夜更かししないはずもありません。

案の定、僕らはお菓子を広げながら談笑していました。

しかしA君は練習に疲れて寝ているようでした。

彼は入り口付近の右側の

一段で寝ていました。

僕らは奥の左右一段に群がって、談笑していました。

誰かが、携帯をひらいて

「やばい、もう2時じゃん!朝練おきれないぞ」

何て言いました。

そろそろ寝ようかってことで、消灯して、それぞれがベッドにはいりました。

僕はやはり疲れていたのか、すぐにウツラウツラしてきました。

誰かが、何かうめき声あげています。

フザケているのだろうと

スルーしていると、僕の

足側にいた奴が大声で僕を起こすんです

「やばいAがやばい!」何か一段で寝ていた奴らも僕のベッドに上がってくるんです。

何なんだよと上体を起こすと、A君以外の全員が左右に分かれて二段に上がっていました。

A君は呻きながら、入り口付近のベッドでブツブツ何か言っています。

誰かが

「なんかAおかしいぞ」って。確かにおかしいです。フザケてるというより、何だか苦しそうで。「電気つけよう」と

僕がベッドライトをつけた途端、A君が

「かぁ!」って叫んだ。でライトがプスンて切れて、ふたたび真っ暗に。何か超常現象を感じた。暗闇の中で、A君がゆっくりベッドから乗り出し入り口の前に立ったんです。逃げ場は無くなりました。

A君は不気味な笑い声をあげた。その目が普段の倍以上に開いているのが月明かりでもよくわかった。僕らは発狂しそうになりました。

A君が、僕らのいる二段へ上がってこようとした

のです。

「くるな!」

僕らは枕や蹴りで必死に防戦しました。しつこくA君はあがってこようとしましたが一度あきらめてベッドに戻りました。

僕らは油断せずにそれを見守っていました。

しばらくすると、A君は「シーッシー」

と声を立てながら正座して何かをしているようでした。

それは刀を研いでいる仕草でした。僕らは、隣の寝室にいる先輩達がわかるように皆で壁を叩き大声を出して叫びました。先生が怒鳴り込んで来てくれれば何よりだ。けど

これだけ騒いでいるにも関わらず、一向に誰も来ません。

僕らは迫るA君と幾度も格闘しました。

空が白みはじめると、A君は念仏を唱えながらベッドに戻りました。そしてこう言ったんです。

「我こそは〇〇の住人〇〇源之助光恒に候。糺さねばならん。糺さねば」そう言われたとき、皆が僕を見ました。

そう、その〇〇って僕の名字だったんです。とんだトバッチリですよ。けど、実は僕結構影では悪で、ヤバいともやったりしてました。

「糺さねば」って言われたときピンときました。翌日、A君は夜中の出来事を案の定知らないようでした。先輩や後輩や先生たちも、僕らの部屋は何処よりも静かで、疲れてグッスリだったんだろなんて言っていました。ただ、A君は夢を見たそうです。甲冑を着た武者が現れて、僕がやばいから助けてやってほしいって。多分、御先祖が戒めにやってきてくれたのだろうと思いました。

後日、この合宿所のあった〇県〇市付近は僕の先祖が治めていた土地だったと祖父が教えてくれました。あれ以来、今は更生した生活?を送っています。

怖い話投稿:ホラーテラー 桜吹雪LOVEさん  

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