短編2
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物語は悲鳴で始まり…

誰かの悲鳴だ。

墓地から聞こえる。

何かあったのだろうか?

だから夜にこの辺りを歩くのはイヤなんだ。

昼間でさえ、木がうっそうと茂り薄暗い。

女は会社の残業で、すっかり遅くなり、仕方なく近道であるこの気味の悪い道を通った。

誰かが迷い込んで詰まらない物でも見て、幽霊か何かと間違えて叫んだのかもしれない。

女は恐る恐る墓へ向かった。

逃げ出したいが、もし迷ってたら気の毒だし、失神でもしていたら、寒さで凍え死んだら大変だ。

ジャリ、ジャリ ザッ

ザッ。

誰か穴を掘っている。

えっ墓荒らし?

月はやせていたが、シャベルを持って懸命に穴を掘る小さな影を映し出した。

女はギクリとしたが、その影が少女だと分かり、

ホッと胸をなでおろした。

と同時に尋ねた。

「何をしてるの?こんな所で」

「墓穴を掘ってるの」

「こんな時間に?誰か亡くなったの?」

「うんッ、もうすぐ来るはずなんだけど…」

女は恐くなった。この子、気が狂っているなかしら。

この辺りの子じゃない。

見覚えがないもの。

少女は何かに憑かれたようにシャベルを動かしている。

女は震えながら言った。

「さっさっき悲鳴が聞こえなかった?」

少女は初めて女へ目線をやった。

「あの悲鳴が聞こえましたか?」

少女はニッコリ笑った。

やけに白い顔だ。

「それじゃぁ、今夜この墓穴に入いる死体はあなたですよ。あの悲鳴はあなた自身のものです。

少女はシャベルを力いっぱい女の頭をめがけてふりおろした。

物語は悲鳴で終わる…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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