短編2
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不謹慎3【完】

※誤解させて申し訳ない。

これは、事実を少しだけ混ぜた創作です。

 不思議な感覚に捕らわれて俺は眠りから覚めた。目の前に俺が居る、声をかけようも声は出ない。そればかりか体すら動かない。

 俺じゃない俺は部屋に居て何時もの様に生活してる、そんな時凄まじい地震が起こって……気がつけば家は倒壊、奴は傷だらけ。鳴り響く警報。

 おかしい、そんなはずはない。大体俺はここにいるし傷だらけでもない、それなのに奴が怪我した筈の腕が痛む気がする。

 まさか、そんなはずはない。

 きっとこれは夢なんだ、絶対に夢だ。こんな事が現実にある訳がない。そう思って俺はもがいた。しかし体は動かない。

 視界が代わって俺は瓦礫の中に立っていた。うめき声が聞こえる。見ず知らずの人間が……。

 早く目が覚めてくれ。

 また視界が代わった。こんどは目の前に焼け爛れた人間がいる。助けてくれ、苦しいと叫ぶ声が聞こえる。

「アナタが死ねばよかったのにね……

 死にたくもない人間が死ぬ現実

 それを嘲笑う人でなし」

 急に声が聞こえて、俺の心臓は嫌に高鳴る。声の主は瓦礫を踏み鳴らしながら俺の前に姿を表した。

 黒髪の日本人で、わりと若い感じの女。

「世の中不謹慎な人がいるものね

 代わりに死ねば、とか死ねるなら死ぬとか……

 みんな死にたくて死んでる訳じゃないのに

 みんな生きたいのに」

 女の声は冷ややかで俺の心に突き刺さる。見えない何かに締め付けられている様な奇妙な感覚。

「不謹慎」

 その一言が聞こえた瞬間俺の目が覚めた。夢だったんだと、俺は胸を撫で下ろす。テレビをつければまだ地震のニュース……なに一つ変わらない日常に俺は先の夢等忘れ、また携帯を取り出した。

「ん? メールきてる」

 それはまったく知らないアドレスからのメール。

 お前が、悔やむまで

 いつまでも何度でも。

 少しだけ気味が悪い内容のメールを俺は速攻削除した。そしてまた何時もの出会い系にアクセスする。するとさっきの日記にコメントがついていた。

 見ないと決めたが、まあ暇だし構ってやるか。

 そこにはこう書いてあった。

 永遠に夢の中で。

「夢の中で、死を繰り返しましょ?」

 背後に忍び寄る気配、からみつく腕、そして――。

 俺は毎晩夢を見る。焼けて死んだ自分水死した自分。毎日死を夢みる。

「マタ不謹慎ナ人ガイル、殺サナキャ――。」

怖い話投稿:ホラーテラー 真夏火さん  

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