中編4
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くさ男と幽霊

まだくさ男が若かりし頃…そう、あれは今から12年ほど前。

俺はやっとこさ毛も生えそろったくらいの高校生だった。

広島育ちというのもあり少々やんちゃに育った高校生の俺。

ある日俺は所属している野球部の練習を終え、いつもの『たまり場』でキャンプファイヤーみたく勝手に木材を燃やしたりして夏の夕暮れを仲間と過ごしていた。

場所は水鳥公園と言って近くの学生なら誰でも知ってる海辺の公園。

いつも部活帰りにそこに寄っては花火をしたり煙草を吹かしてみたりと、ちょっとした『悪さ』をするにはちょうど良い場所だ。

そこでいつものように浜に流れ着いた木材を拾ってきて、近くのゴミ箱から新聞紙やらを持ってきて、燃やしてしけこんでいた。

そう…あれは忘れもしない8月15日。

部活仲間の誰かが『泳ごうぜ!」と言い出したのでノリで海に入ることになった。

当時、勢いやノリがすべての青二才だったため、何も考えず海に飛び込んでワイワイ遊んだ。

一時間くらい泳いだりして、さぁ上がろうとしたとき仲間の一人(A君とする)が「なんか足に触った!」と言った。

どうせお彼岸だとか何とか言う理由から、死者だの霊だの何だのとかって言ってビビらしているだけだと思った矢先…

『ざぶ~ん!』

大きな波がAを呑み込んだ。

一瞬の事だった。

ちょっと演技っぽいのもあり、最初は笑って見てたもののなかなかAは上がってこない。

ヤバいなと直感した俺はすぐ居なくなったあたりを潜って探した。

なにぶん夜の海だし、水も河口近くで濁ってるし、何より月も出ていない真っ暗な夜。

なかなか見つからない。

1分ほど探して、ようやくAの体らしきものに触れ、そのまま引っ張りあげた。

Aだった。

全然息をしていない。

なのに体は激しく痙攣?の様に波をうってる。

ガクガクブルブルみたいな…

とりあえず保険の授業で習ったばっかの人口呼吸と心臓マッサージをしてみるが中々意識を回復しない。

相当慌ててたのでちょっと荒療法だが腹をグーパンしてみたら、『オエッ』と言い、大量の水と黒い物体を吐き出した。

よくよく見てみるとそれは大量のワカメ(藻ってやつ)だった。

Aの意識が回復し、話をきいてみるとこんなことを言った。

『最初楽しく泳いでたんだけど、なんか体が急に重くなって、誰かが足をつかんで海の中に引っ張りこんだんだ』と。

それって霊だよとか無事で良かったななんとか言って火にあたりだべっていると、たまたま近くに住んでる同じクラスのBが犬の散歩で通りかかった。

こいつは見えるやつで、これまでも数々の体験談があるのだが(ここでは割愛)、Aを見るなり『おお…』と呟いた。

そいつが言うにはAの背中にでかい坊主頭の裸のマッチョが見えるらしい。

なんで裸なんだか。

笑いごとではないが、B曰く、Aの後ろでずっとダブルダブルラリアット(ストⅡザンゲフの技)みたいなことををしてるらしい。

それを聞いて一同大爆笑。当の溺れたAも『それって北斗の拳に出てきそうなやつ?ラオウとどっちが強そう?』とかなんとか興味津々。

憑かれたことが全く気にならない様子。

じゃあそのおっさん?(霊)をやっつけようとか言う話になり、近くのコンビニで大量にロケット花火を買い込んだ。

今思うとなんで霊をやっつけるのにロケット花火なんだか…

とりあえずそのマッチョはAの後ろにいるらしいので、Aにヘルメットを被せ、野球のウィンドブレーカーを着せ、ジャージを履かせ、完全防備で後ろを向かせて起たせた。(別にいじめじゃないよ。Aもノリノリだったから)

そんでもって10メートルくらい離れたところから一斉にAの背中に向けロケットを発射。

パン!パン!パン!

乾いた音が響きわたる。

当たらない。

まっすぐ狙ってるのに、Aの直前で曲がって行く。

B曰く、マッチョがダブルラリアットでかわしてるんだと。

本当に面白いように当たんない。

ムキになった俺たちは今度は5メートルくらいの位置から一斉に発射。

刹那…

A被弾。

3発くらい当たった。

まぁウィンドブレーカーの下にキャッチャーのレガースやらなんやらを後ろ向きにつけてたんで、全く怪我とかはしなかったが。

当たったことを確認し、Bに話を聞いてみると、まっちょが交わしきれず被弾。頭と、股間と二の腕に当たってたまらず海の方に走って行ったんだと。

一同またまた大爆笑。

逃げて行った方に向けみんなで残ったロケットを発射。

それでようやくAから完全に霊が離脱した。

こういうことがあり、Aについたあだ名は『北斗』

理由は北斗の拳に出てきそうなやつを倒したって理由で。

これの内容は学年のほぼ全員が所以を知るところとなり、生徒から、ましてや先生からも北斗北斗と呼ばれる始末。

高校時代の良い思い出だ。

そうそう、蛇足かもしれないがこの前の正月Aこと北斗に久しぶりに出会った。

会ってビックリ!

彼は大学でレスリング部に入り、高校の頃の面影にないくらいマッチョに。

B曰く、あの時のマッチョに劣らないくらい…だそうだ。

本人はラオウを超えるくらいの肉体を手に入れると目下毎日筋トレを行っている。

あの時のマッチョに出会わなければ…今の北斗は居なかったんだよね。

思えば良い霊だったのかな…

あとこの場を借りて、、、

『ロケットを3発も当ててごめんなさい』

怖い話投稿:ホラーテラー ちんちんくさ男さん  

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