短編2
  • 表示切替
  • 使い方

「………」

私は幽霊が見えるわけではない。てか幽霊って怖いし見たくない。

でも第六感ってものが働く。

父親の仕事の都合で住んでいた土地を離れ、田んぼだらけの田舎に引っ越してきた。

マンションにしか住んだことのない私は一戸建ての家に惹かれ、自分の部屋も貰えた。

フローリングの床で、出窓から太陽の日が差す。

高校生になってアルバイトした自分の給料でソファーやテーブルも買った。

自分だけの部屋だ。快適だった。

自分の部屋にはなにもいないと思っていた。

私が恐れていたのは妹の部屋と風呂場。なんか空気が暗かったから。

部屋を決めるときだって、妹の部屋の方がモダンで照明もオシャレでエアコンもあったけど、怖いからという理由で妹を生け贄にした(最低)

本当になんの変哲もないある日。

たまに、寝てるときに浮遊感とかありませんか?ジェットコースターで落ちたときみたいなフワッとする感覚…。

その浮遊感でハッと目が覚めました。

酷い耳なり……鼓膜が破けそうになるくらいの。

その耳なりのせいで冷や汗がでてきた。

なぜか手足が痺れている。

(コレはヤバい……)と思った私は、必死に普通を装って寝たフリをしました。幽霊に寝たフリをして通用するかもと思った。とにかく無になろうとした。

(私は気付いていない…幽霊の存在なんかに気付いていない…)

(ただ偶然に起きてしまっただけなんですぅ…消えて下さいぃ…怖い怖い怖い…)

そんな思いとは裏腹に、目は明けてないのに部屋が見えるんです。

全身が真っ青(体に青いペンキ塗ってるみたい)の全裸の男が、私の腰から上にかけて舐めるように見ているんです。

(誰かあああ…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい)

男はしばらく見たあと、スッとどこかへ行ってしまいました。

耳なりも段々収まって、寝返りを打とうとしたそのとき……

「わかってるんやぞ」

あまりの恐怖に気絶しました。

わかってるんやぞ、とは、私が寝たフリをしていることがバレていたということでしょうか?

次の日、妹に部屋の交換交渉をもちかけて断られたのは言うまでもありません。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ