中編3
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フィクション 前編

これはフィクションです。暇に任せて書いたため、話がやたら長くなってしまい、前後編に別れております。時間に余裕のある方、ツマラナイモノ見たさの方などお試し頂ければ嬉しく思います…。

昭雄にはたくさんの愛人がいる。

頻繁に会っているのは三人程だが、それでも呼び出せばそそくさと出て来る女は数多くいた。

女を囲って最低な奴だ…傍から見れば、ただの薄情な色魔としか映らないだろう。確かにそれは否定出来ない。

しかし、彼女達には金銭的な部分も含めて、出来る限りのことはしてやっていた。

昭雄自身、多数の愛人を持つ事に全く罪悪感が無い訳ではない。妻も愛している。俺は一度に何人もの女を愛せてしまうんだ!…これが昭雄の言い分だった。

愛人同士が鉢合わせしないよう、付き人にはスケジュール管理を徹底させているし、今のところ、目立ったトラブルは起きていない。周りからいくら非難されようとも、この生活を変える気は更々なかった。

愛人の中でも特別気に入っている女に理恵子というのがいた。

理恵子はまだ若く、叩くとピチピチ音を立てるような艶やかな肌が魅力的だったが、一つ難点は、非常に嫉妬深いところにあった。

昭雄が理恵子以外の女と会った翌日、理恵子を訪ねると、あからさまに不機嫌な態度を取る。

昭雄には他にも愛人がいることを女の勘でちゃんと判っているのだ。

そして、理恵子の24回目の誕生日に問題は起きた。

昭雄が用意したプレゼントのネックレス…。数カ月前にも全く同じ物を理恵子に送っていたのである。

昭雄はどの女に何を上げたか、いちいち覚えるのが面倒臭く、その年の流行りのジュエリーを何パターンかに絞って渡していた。

たった数カ月の間に同じ物をプレゼントされたら、大概の女性は不審に思う。

案の定、理恵子は顔を真っ赤にしてまくし立てた。

「コレ、前のと一緒じゃない!!私、ずっと付けてたのに…今まで何を見てたの!?」

昭雄に弁解の余地は無い。トラブルをなくす為に、愛人達には同じ物を送っていたのだが…正に身から出たサビだった。

興奮が治まらない理恵子はそこら中の物を投げ始めた。クッションやら雑誌やら、取るもの構わず昭雄に投げ付け、そのうちTVのリモコンが昭雄の左目に命中した。

咄嗟にカッとなった昭雄は理恵子を思い切り突き飛ばした。

小柄な彼女の体は簡単に浮き、一瞬、あっと声をあげるとドスンと床に倒れてしまった。そしてそのまま動かなくなった……。理恵子はサイドボードの縁で頭を強打したのだ。

この短い時間に何が起きたのか…自分は一体何をしてしまったのか…昭雄は冷静に考える頭を到底持ち合わせてはいなかった。

…今から思えば、あの時すぐに救急車を読んでいたら理恵子は死なずに済んだかもしれない。殺意があった訳ではない、本当に偶然の事故だったのだ。

しかし、隠す事に決めた以上、蒸し返すことはもうやめよう……。忘れるのだ………。

あれから3年の月日が流れた。

酷かった女癖があの一件で見事に沈静した昭雄は、娘の麻衣を中心に生活を送っていた。昭雄の末娘は今年で5歳になる。40をとうに過ぎてから授かった子供は別段可愛い。

麻衣にはピアノを習わせ、教室の送り迎えは付き人にしっかりさせていた。

麻衣の誕生日まであと一週間と迫ったある日のこと、付き人の川田が震える声で昭雄に電話してきた。

「あの…すみません、社長……いや…麻衣ちゃんが…」

昭雄は川田の声のトーンからいつもとは違う空気を察した……。

後編へ続く

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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