短編2
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真夜中の帰り道

これは何年も前の話です。

良かったら読んでください。

今は別の仕事に転職したんですが、当時働いていた会社では交代勤務をしており、会社の寮で生活していました。

まだ若かったこともあり、休みに入る度に隣の県にある実家に帰り、学生時代の友人達と飲んだりしていました。

その出来事は会社から実家へ帰る時に起きたんです。

当時の勤務形態は休みに入る直前の勤務が深夜に終るため、疲れと睡魔により事故を起こしかねないと、翌朝帰るようにしてたんです。

ただその日は、ほんの気まぐれで仕事が終わってすぐ、そのまま帰宅することにしたんです。

帰宅路の峠道に一カ所だけ信号があるんですが、非常に小さな交差点で、感応式の信号のため今まで一度も引っかかたことはありませんでした。

その日も信号は青だったんですが、数十メートル手前で赤に替わりました。

昼間でも車が通らないのにこんな夜中に珍しいなぁなんて思っていると、ゆっくりと車が出てきました。

この車にどんな奴が乗っているのか気になり目を懲らして絶句、車のバンパーはボコボコでフロントライトは片方が消えていました。

助手席に座っている女性らしき人は、シートベルトに首をだらりとぶら下げ、揺れています。

揺れる間に見えたその顔は真っ赤に染まっていました。

生きているのか?という疑問が湧き、運転席を見ると眼鏡をかけた若そうな男が無表情で口をパクパクさせ何かつぶやいているようでした。

これは事故に遭って、パニックになっている。助けなくてはと思っていると、その車はすれ違いざまに私の車の横に止まり、窓ガラスを下ろしました。

私も窓を開けて、大丈夫ですか?救急車よびますよ!と言うと男が笑い出し、

救急車じゃだめだよぉ

霊柩車じゃないと

ウフフフフフフッ

二台だよ二台

こいつの分とあんたの分!!

そう言い終ると同時に私の視界にあるものが入り、右足はアクセルを全力で踏み込んでいました。

サイドミラーを覗き込むと闇が広がるばかり。

奴らが追って来てはいないが、恐怖のあまりスピードを落とす事が出来ませんでした。

そんな出来に遭遇したものも、関連するようなニュースもないまま数年が過ぎました。

手の込んだ悪戯だったと願いたい。

やっかい事に巻き込まれるのが嫌で警察に連絡できなかった自分が恥ずかしい。

ただあの時、後部座席から男が二人下りてきた時は本気で危機感を感じました。

怖い話投稿:ホラーテラー 65FLRさん  

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無事で何よりです。

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