短編1
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またね

これは私がまだ小学生だった頃で、夏休みも終わりに差し掛かった日の話。私は、よく遊ぶ友達Aと近くの森で昆虫採集をしていた。

時間が経つのも忘れるほど楽しみ、気付けばすっかり真っ暗。Aが「そろそろ帰ろうぜ」と言い、帰る事になった。

帰り道の途中で、麦わら帽子を忘れてきたことに気付いた私は、慌てて「忘れ物したから取りに戻る」と言い、Aは、「うん、またね」と言い、手を振りながら帰っていった。

いつもなら、「俺も行くよ」とか、「んじゃここで待っている」と言って、一人で帰ることはなかったAなのだが、その日に限って「またね」といった事は、今でも心に残っている。

数時間後、帽子も見つかり、家に帰宅すると、母親が泣きそうな声で、「A君が・・・車にはねられて」と叫びながら寄ってきた。

何を言っているか、最初は理解できなかったが、しばらくして、Aの母親が家にやってきて、「Aが今・・・息をひきとりました」と言ったとき、Aは死んだと理解し、大声で泣いた。

後から事故を目撃した人に聞いた話だが、Aは自分で笑いながら車に突っ込んでいったらしい。

「またね」

Aは一体どんな気持ちでこのセリフを言ったのだろう。今となっては分からない事である。

怖い話投稿:ホラーテラー ロリチョンさん  

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