2年前の秋、大雨の次の日に友人と2人でマス釣りに出掛けた
大雨が降ると養殖場のマスが川に流れ込む、俺達2人はその逃げ出したマスを目当てに何度か釣りに出掛けている
いつもは釣れても3〜4尾ぐらいだったがその日は違った、面白い程釣れまくったのだ
あまり釣れるので楽しくて時間もたつのも忘れ、釣りまくった
「お〜い、何びき釣れた?」
「数えてないからわからん!?でも10は超えてると思うよ」
「そろそろ帰んない?…俺、寒くなってきたよ」
気がつくと辺りは真っ暗で確かに肌寒い気がする
今日は大漁で、2人で30尾近いマスを釣り上げ大満足だ
いつものように山道の抜け道である旧道を走り、いつもの某スポーツ施設の大駐車場に出た
その駐車場を右下に見ながらしばらく走ると、大通りの国道に出る
もうすぐ駐車場を通り過ぎるという時…
突然『ギャーッ!!』という女の声が聞こえた
「なんだ?今の声!?」
車を停車しながら声のした方向を2人で見た
駐車場の一番奥にトイレがある、そのトイレに女の人が走りながら入って行くのが月の明かりとトイレの照明でハッキリ見えた
辺りには民家はおろか、車一台無い…
「女、見たよな…」
「見た、見た…便所に走ってったよ」
女の髪の毛はストレートの長い黒髪、白い長袖のシャツ、紺色のスリムなデニムの様なパンツ姿…
「やばくねぇ!?」
「うん…見に行ってみる?」
この駐車場は山の中で、あまり人目につきにくい為に暴走族や走り屋の溜まり場となっている、
女の子を連れ込んでは大勢で強姦したりする地元では有名な場所だ
女が走り込んだトイレの前で車を止め、ヘッドライトをハイビームにしてトイレを照した
「どうする?見に行く?」
「痴漢だと思われないかなぁ」
「でもあの叫び声、やばくねぇ」
「んん…なら男便所から見てみようか」
「面倒だからお前、男便所に行けよ、俺が女便所見てくるから」
俺達は別れて見に行く事にした
女便所に『もしも〜し、誰か居ますかぁ』と声を掛ながら入った
全ての個室のドアが開いている、それでも念のため一つ一つ手前から確認して行ったが誰もいない…
友人が男便所から『誰もいないよ』と言いながら入ってきた
「コッチもいないよ…」
と言いながら友人がきた出入口を振り返ると
友人の後に長い黒髪の女が立っていた
「うっ…うわぁー!!」
俺は大声で叫び、腰を抜かした様に座り込んだ
友人もビックリして振り返り、大声を上げた
友人は何を思ったか『ごめんなさい、ごめんなさい』と言っていた
女は睨みながら出入口から隠れるように姿を消した
俺達は怖くて直ぐにはトイレから出られなかったが、呆然としている友人の手を取り、目の前の車までダッシュした
途中、気持ちを落ち着かせる為に大通り沿いのコンビニに寄った
「マジ怖かったぁ〜あの女スゲエ睨んでたじゃん」
「えっ!?あの女…ニヤニヤ笑ってたじゃん」
あの女が霊と呼ばれるモノなのかわからないが…
もう二度と会いたくない。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話