短編2
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黒いモヤ

これは私がちょうど一週間前に体験した話です。

私はその日特に目立ったことがなく、急いでする課題もなかったので夜の10時ぐらいに寝ようと布団に入りました。

寝始めたのは良かったのですが、部屋の中がジメジメとした暑さでとても寝苦しかったんです。

家にはエアコンというものがなく、私は扇風機のスイッチを入れて若干涼しくなった部屋でまどろんでいました。

だんだんと眠たくなり目を閉じようとしたとき、不意に扇風機の風を感じなくなりました。おかしいと思い閉じかけていためを開けると、目の端に黒い人の形をしたモヤがありました。

そのモヤは、だんだんと私の視界に覗き込むようにして私の顔の前まで来ました。

訳も分からず叫ぼうとしましたが金縛りにあい、声が出ず、私は必死で

「お母さん……!!」

と念じました。

すると、慌てて階段を登ってくる音がして母親が私の部屋に入ってきました。

母が入ってきた途端、その黒いモヤはすうっと消えて私の記憶はそこで途切れました。

次の日、昨日のことについて母になにか見えなかったか、どうしてあんなに急いで上がってきたのか、と聞いたところ

「それがよう分からんのよ。」

と言いながら話してくれました。

私が黒いモヤと対峙していたとき、母はうたた寝をしていたらしいんです。(時間系列的に)

その時の夢で、母の父(私から見て祖父)が出てきて

「**(私の名前)の所へ早う行け。」

と言ったそうです。

その祖父は10年ぐらい前に死んでいて、私は覚えていないんですが可愛がってもらっていたそうです。

「なんか分からんけど、あんたがなんにもないんは爺ちゃんのおかげじゃね。」

そう言われて、その日仏壇の前で手を合わせました。

「ありがとう、おじいちゃん」

そう思いながら。

結局黒いモヤはあれから見ていません。

その正体がなんだったかの不明のままです。

でも見える知り合いの人の話だと心配はないということです。

死んでもなお人の思いは強いんだと感じた出来事でした。

怖い話投稿:ホラーテラー 火蜥蜴さん  

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