中編4
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火事

昨日「とあるカラオケ」を載せたりさです。

今回は、「とあるカラオケ」を書いていて思い出したお話を書きたいと思います。

もう、かれこれ14年も前の出来事なのですが、未だによく覚えています。

当時私は8歳、父方の実家に祖父、祖母、両親、弟と住んでいました。

それは7月の平日で、私はいつも通りに学校へ行っていました。

授業を受け、友達や先輩と遊び、掃除をして帰りのHR時間になりました。

先生の話を聞きながら、私は家に帰ったら何をしようか考えていました。

その時です。

事務員のおじさんが慌てて私たちのクラスに来て、

事「先生!ちょっとこちらに!!」

先生を廊下に呼びました。

事務員のおじさんの慌てぶりに、私たちは何事かとざわつきました。

直ぐに先生は戻ってきました。

先「はいはーい。みんな静かに!今から大事なお話するからちゃんと聞いててね?」

先生がいつもより緊張した表情をしていたので、私たちも緊張して先生が口を開くのを待ちました。

先「今、サイレン聞こえるよね?乙越方面で火事が起きてるの。…りさちゃんかありさちゃんの家らしいのね。だから、二人はこのまま残って下さい。後のみんなは先輩方と気をつけて帰ること。」

クラスがどよめきました。

そんなみんなを嗜めながら、先生はみんなを外まで見送りに行き、教室には私とありさだけになりました。

あ「消防車いっぱい来てるのかな?」

り「来てたら近くで見れるかな?」

あ「そしたらすごいよね!?本物が見れるんだよ?」

り「本物見たい!でっかいんだろーね!!」

今思えば、世間知らずの馬鹿馬鹿しい会話ですが、田舎で火事なんて見たこともなかった私たちは火事がどれだけ怖いかなんて知りませんでした。

それより、消防車を見れるかもという期待で胸がいっぱいでした。

二人ではしゃいでいると先生が急いで戻って来ました。

先「火事りさちゃんの家らしいから急いで帰る準備して。先生と教頭先生と一緒に帰るよ。ありさちゃんは、今お母さん迎えに来てるからお母さんと帰ってね。」

あ「あたしの家じゃなかったんだー。消防車見たかったなー。」

り「じゃあ、あたし写真撮ってそれあげるよ。」

あ「本当!?ありがとう!じゃ、あたし帰るね!またね。」

り「うん、またね。」

その後私は、先生と教頭先生と帰りました。

家が近付くにつれ、煤臭さが増していきます。

家に着いた時、いつもとは違う光景にびっくりしました。

消防車が大小12台並び、家はまだ燃えていました。

ミシミシと木の軋む音が聞こえ、窓の近くにはガラスの破片が散らばっていました。

それでも怖さは感じませんでした。

不謹慎なことに、家が燃えてるのに興奮さえしていました。

私以外の家族はまだ帰ってなかったので、先生たちと消火活動を見ていました。

30分くらいして両親が弟を連れて帰って来て、母が消防隊の方に話を聞かれていました。

出火場所が両親の寝室だったからです。

先生たちが父のところへ行き何か話しているのが横目につきましたが、私はずっと家を見ていました。

知らない内に先生たちは帰っていて、お婆ちゃんが帰って来ていました。

母「りさちゃん、上北のお婆ちゃんのところにお泊りに行くよ?お車に乗って待ってなさい。」

り「まだ火が消えてないよ?あたし、火が消えるまで待ってる!」

母「火が消えるまではまだまだ時間が掛かるの。ここはお父さんと京子お婆ちゃんに任せて、私たちは上北のお婆ちゃんのところに行きましょう?力也(弟)もおねむだから、ね?」

り「うー…解った。」

私は、母に従い車に乗りました。

そして、その日は母と弟と一緒に母方の実家に泊まりました。

次の日、学校を休んで母と鎮火した家に行きました。

全部が真っ黒でした。

飼っていた熱帯魚も見当たらず、水槽だけがありました。

でも、不思議な事があったんです。

出火場所の部屋の隣にあった子供部屋の物は何一つ燃えてなかったのです。

机、教科書、服、ベッド、おもちゃ、何一つ燃えてませんでした。

更に、居間に置いていた仏壇もそのままで、曾お婆さんと曾お爺さんの遺影は端しか焦げてませんでした。

母「お前らはばばちゃん(曾お婆ちゃん)に好かれてたからなぁ…。守ってくれてるんだね。良かったね。」

私たちは使える物は出来るだけ使おうと思い、形が残ってる物を出来るだけ持ち、母方の実家に行きました。

それから、私たちは母方の実家に住むことになりました。

母と父は知らない内に離婚していましたが、未だに父の実家には遊びに行きます。

今は新しく家が建てられ、従姉弟とその母親、祖母が住んでいますが、仏壇と遺影はあの時のまま変わらずあります。

私の家に持ち帰った服とかはもう着れませんので捨ててしまいましたが、箪笥は未だに使ってます。

前回書いた話でも私を守ってくれている曾お婆ちゃんですが、「こういう時も助けてくれたなぁ」と思い出しました。

私って幸せ者なんだとつくづく感じます。

でも、未だに解決してないことがあるんです。

出火場所は両親の部屋なのですが、出火原因が解ってないんです。

壁に縦1m、横50㎝くらいの穴が空いていたんですが、煙草は居間でしか吸ってはいけないという規則があったし、コンセントも違う場所にありました。

何故火事になったのかが解らないのが一番怖いです。

今回も長くなりましたが、本当にあったお話です。

因みに、私とありさが残された理由は「父親(世帯主)が同姓同名だから」です。

怖い話投稿:ホラーテラー りささん  

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素晴らしいお話でした。ありがとうございました